スマート革命、何故アマゾンのイベントだけが注目されるのか?
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<序文>
2012年8月末のベルリンIFAにおける韓国サムスンのWindows8タブ「ATIV Tab」やアンドロイド版デジカメの発表、モトローラとグーグルによるスマートフォン発表、ノキアによるWindows8スマートフォン発表と9月12日に確定したアップルのiPhone5の発表の前に各社続々と新製品スマート機器の発表を行っています。またWindows8搭載パソコンはベルリンのIFAでソニー、東芝、レノボ、デル、エイサー、サムスンなど多数が発表されていました。
しかし9月6日に実施されたアマゾンのキンドル関連の記者発表は他社の発表に対して異常な注目度を集め、テッククランチ、CNET、AllthingsD、THEVERGEなどの蒼々たる米国のブログで5個も6個もの関連記事が出ています。
一体、何故モノ作りが本職では無いインターネットサービス企業アマゾンの「プライベートブランド製品」の発表が本職の名だたるメーカー製品を差し置いてそれほどの関心を集めるのでしょうか?
★★Nokia and Microsoft Announce New Lumia Smartphones
★★ Wow, Motorola's First Big Event Under Google Was A Total Dud
★★Amazon、「Kindle Paperwhite」「Kindle Fire HD」を発表
<出所:ウオールストリートジャーナル誌ブログ ALLTHINGSD>
★★You say you want a revolution? It's called post-PC computing
<出所:http://radar>
★★ 続々お目見えするWindows8搭載PCの注目ポイント by本田雅一:IFA2012
<モノ支配論理からサービス支配論理へ>
メーカーでは無いアマゾンのタブレット(Kindle Fire HD)や電子書籍リーダー(Kindle Paperwhite)が注目される理由は、アマゾンとアップルがポストPCコンピューティング時代の勝ち組だと言う点が挙げられます。
米国では大型汎用機の時代、インターネットとパソコンの時代の次に故スティーブ・ジョブズ氏が提唱したポストパソコン時代が到来し、ポストPCコンピューティングとも呼ばれています。(日本では総務省が「情報通信白書」でスマート革命を用いた為、筆者もスマート革命と呼んでいます。)
一人一台のパソコンから一人が七台のパソコンを使うポストPCコンピューティング、スマート革命時代には、機器の仕様よりもスマート機器の上に花咲く各種のサービスの価値が生活者を惹きつけます。そこにおける勝ち組がアマゾンであり、アップルと言われています。
その結果、製品記者発表会においてノキアやモトローラなどプロのメーカーのタブレットやスマートフォンの発表よりもメーカーとしてはアマチュアのアマゾンの製品発表の方に圧倒的な注目が集まったと言う訳です。
まさにモノ支配論理からサービス支配論理への転換ですね。
<キンドルファイアの旧版が失速した訳>
アマゾンの記者会見の中でCEOのジェフ・ベゾフ氏は興味深いことを幾つか述べています。2011年のホリデーシーズンにキンドルファイアーが売れに売れて、その後失速した理由は「ホリデーシーズンにはキンドルを生活者はハードウエア製品として買った。」「その時はサービスが十分意識されていなかった。」「長い目で見ればスマート機器では無く、サービスの価値の戦いになる」だろうと言う訳です。アマゾンのサービスが十分意識されて旧版のキンドルファイアーが売れた訳ではないと言う分析です。それでも韓国サムスンのタブレットの販売数を上回っていました。その結果、アマゾンにとっては「グーグルのアンドロイド・タブレットは敵では無い。」と言う認識を示しています。
<パイプラインに準備された幾つかのスマート機器>
またウオールストリートジャーナル誌のブログであるAllthingsDとのインタビューでは、期待されたアマゾンテレビやアマゾンスマートフォンが発表されなかった点に関して「パイプラインに準備された幾つかのスマート機器」の存在を認めたそうです。
どうやら早晩、アマゾンはスマートフォンやスマートテレビに出る可能性が高いと思われます。
<家電敗戦をネット企業が引き取るのか>
国内でも家電敗戦の後、シャープの経営危機やNECの経営危機が経済誌などで盛んに叫ばれています。この米国の状況を見れば国内でもポストPCコンピューティイング=スマート革命のリーダーはネット企業に期待すると言うことになるのでしょうか?そう言えば長州藩を支えたのは武士では無く、高杉晋作の創設した農民からなる騎兵隊でした。
時代がどんどん前へ前へと動いていきます。
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