スマート革命が進めばパソコン企業はどうなるのか?
<序文>
一人一台のパソコン時代が終焉し、一人が七台のスマート機器を使い分け、その上で花咲くサービスの森の上で豊かな経験型のライフを営む時代が来ています。かつて「ライフ・オンザ・スクリーン」の中でMITの社会心理学教授であるシャリー・タークル氏は、一般のプログラミングツールを「ハンマーを振り回す工具」のような行為と呼び、他方ワープロやパワーポイントなどの使い方を「まるでハープを弾くようなエレガントな行い」と呼び両者を対比しました。スマート機器を楽しむことは、故スティーブ・ジョブズ氏がイメージした「コンピューターの上でトイストーリーなどの映画」を楽しむ行為と考えることができます。
そういうスマート革命の時代=ポストパソコン時代にパソコンメーカーのデルやHPは追随できなくなり始めています。
★★ HP, Dell and the paradox of the disrupted
<出所:ギガオム>
★★ The Garage is Closed: Thoughts on HP's Divestiture of webOS and PC Business
<HPとDellが衰え始めた訳>
マイクロソフトが支配した過去20年間は、モジュール部品を組み合わせる水平分業の時代でした。その典型がHPやDellのモデルであり、WINDOWSのOSやオフィス製品とINTELのチップを組み合わせて販売し、成功しました。ある意味で彼らはハードウエアに特化した企業であり、販売は出来てもアプリのソフトウエアの開発には興味がありませんでした。その為、アップルによるハード機器+プラットフォーム+アプリ+クラウドサービスの垂直統合と言うサービス支配論理には追随できませんでした。その結果、HPはあの webOS の活用のチャンスをみすみす見逃してしまいます。
デルに関しても同じことが言えました。ハードウエアのネット販売は上手な為、アマゾン型のビジネスモデルに気がついても良かったと思うのですが、そのチャンスを逃した訳です。結局、両社ともにアプリに対する興味が弱かったと言えるでしょう。その結果、新しいサービス支配論理に基づくエコシステムを理解できませんでした。
<デルのアメリカの夢、HPウエーは復活するか?>
デルは一時期、あれこそアメリカの夢(アメリカンドリームの象徴)と叫ばれました。日本の経営学者も絶賛していたのを思い出します。
またガレージから生まれたHPと言う神話(HPWAY)も有名でした。
共にアプリケーション・ソフトウエアが弱かった点が原因でmobile とtabletsの時代のチャンスを見過ごす羽目になりました。現在は過去20年続いたマイクロソフトの水平分業からアップルやアマゾン型のスマート機器とサービスのすり合わせ型生産への移行期です。この時期は今後10年―20年続くと見られています。
恐らくスマート革命への移行のチャンスを逸したデルのアメリカの夢、HPウエーの復活は不可能かもしれません。