スマート革命が促したフェースブックのモバイル・ギフトビジネスは成功するか!!?
<序文>
Windows8などの誕生で一人一台のパソコン時代が過ぎ去り、一人が七台のスマート機器を使い分ける新しい個人コンピューティングの形(スマート革命)の時代が到来しています。
概して画面の小さいスマート機器上では広告売り上げの予測数字が低い為、広告中心のフェースブックの売り上げ見通しに上場前後からかなりの批判が出ていました。そうなればフェースブックもグーグルも広告以外の手段でお金を稼ぐ事が求められます。グーグルの場合にはネクサス7の販売とグーグルプレイで稼ぐ姿勢を既に鮮明にしています。
それに対してフェースブックは、5月に買収したKarmaを活用してスマートフォンなどモバイルアプリ中心のギフトサービスを立ち上げました。
従来もFコマースとかソーシャルコマ―スが提唱されていましたが、グル―ポンなど過激な安売りサービスを除いては、フェースブック上で健全なFコマース(フェースブックコマース)など物販の試みは殆ど成功していませんでした。今回のフェースブックのギフトサービス開始は、フェースブック上にファンページやアプリを提供しているFコマース企業群と競合します。スマート革命時代を迎えて広告ビジネスの大幅拡大の見通しが立たなくなったフェースブックは、広告主のリテイル企業と競合してまでモバイル・ギフトビジネスを成功させる事が出来るのでしょうか?(これはマイクロソフトがWINDOWS8タブレットのサーフェス発売により、従来からの顧客であったパソコンメーカーと競合するのと同じ理屈だと考えられます。)
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<出所:allthingsD>
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<Fコマースの失敗の歴史>
嘗て仮想社会サービスのセカンドライフの影響を受けてフェースブックは、社交の手段として有効と思われる仮想ギフト(1ドル程度の写真や絵)の販売に出ました。フェースブック参加者同士の間で大統領選挙などのイベント時に仮想ギフトを送り合うと言う先方です。これは広告主企業などが真似をし、ベンアンドベリーのアイスクリームのイメージやチョコレートのゴデイバのチョコの写真などの爽やかさが好感されました。しかしフェースブックとしては仮想ギフトを失敗とみて、辞めてしまいました。
またその後為された物販=Fコマースの試みに関してもギャップやノードストロームなどが2011年にフェースブック上で実験を行い、効果が無いと撤退した例も良く知られています。
そしてその頃からフェースブックのスマート機器トラフィックが増加する一方、広告ビジネスの遅れや見通しの無さなど売り上げ面の不安が指摘され始めていました。それが上場後の株価下落として一挙に表面化しました。
<追い込まれたフェースブックが開始したギフトビジネス>
Fコマース(フェースブックコマース)に関して申し上げれば、一般的な物販の成功の為にはソーシャルメディア自体は不要であり、楽天やアマゾン型店舗で十分と言う見方が支配的です。物販に於いてソーシャルメディアの活用上、効果があるのは国や社会のイベント発生時(クリスマス、ハロウインなど)や誰かの誕生日、卒業、就職、結婚など個人的なイベントにおける買い物です。従ってギフトと言うサービスはFコマース非常に向いていると考えられています。
重要な点はスマート革命においては広告ビジネスがあまり伸びない見通しである点、そうなればフェースブックも売り上げ数字を物販(Eコマース)に頼らざるを得ない点にあります。一方ソーシャルゲームの仮想商品などのマイクロ取引に関しては仮想通貨のクレジット使用を義務付けた為、30%の手数料をもらう仕組みが出来ています。
既にフェースブックが開始したギフトビジネスにはスターバックスなど100社が参加していると報じられています。食糧や飲み物、ファッション、家庭用品と幅広い展開です。まずはアンドロイドから始め、2-3週間後にIOS上で展開が始まります。
果たしてアマゾンや小売関連の広告主企業と競合してまで開始したフェースブックのギフトビジネスは成功するのでしょうか。