スマート革命が促進するルフトハンザ航空のスマートフライト
<序文>
一人一台のパソコン時代から一人が七台のスマート機器を操作するスマート革命の時代には自宅も(スマートハウス)カーライフも(スマートカー)もお店のライフも(スマートストア)創造的に破壊されます。ビジネスの視点からは「モノ支配論理からサービス支配論理への移行」、個人の視点からは「新しい個人コンピューティングの形」が登場します。
そこで今回は空のライフが如何に変化するか述べてみましょう。
スマート革命の時代には航空機にもWiFiネットワークの根と茎が生えて、その上にサービスの森が茂ります。サービスの森の中身は「映画や音楽、ゲームなどの娯楽サービス」、「ソーシャルメディア」、「食事の注文や軽食、飲み物の注文」、「免税品の注文」などです。
(WiFiサービスが完備し、私物のiPadで映画を楽しむ乗客、続きはホテルで見る!!)
<引用元:ルフトハンザ航空>
<ルフトハンザ航空のボードコネクト>
ルフトハンザシステムズが昨年開発したボードコネクトが欧州で人気です。乗客はラップトップパソコンかiPadを持ってラウンジに集まり、座席番号でチェックインをします。これは乗客による一種のBYOD(私物持ち込み)と考えられます。機内では私物のiPadなどで映画やドラマを楽しみます。そして食事のメニューから選んで注文します。勿論、軽食や飲み物の注文、免税品の注文も全てセルフサービスです。映画を見始めれば自然に乗客同士でビューイングパーティが作られ、どの映画が面白い、あの映画は今一だなどのソーシャルな会話が交わされます。多くの乗客はそれを参考にして二本目、三本目を決めます。これは一種のソーシャルテレビと呼ばれるものです。
そして例えば到着地のロンドンが近くなると「ロンドンのイベントは何?」とか「何処行けばいいの?」とか「オリンピックの記念館ってある?」などの会話が交わされます。そしてその内「同じホテルに行くなら、一緒にタクシーに乗ろうよ」みたいな話になります。何しろフェースブックの友達同士がたまたま出発便のロビーで出会って、申告すれば席が空いていれば隣同士に載せてくれると言われているほどのサービスですから。
さて到着地に着くと機内の娯楽サービスはクラウドサービスへと切り替えられ、乗客は機内で見逃した映画の続きを滞在先のホテルからiPadなどでゆっくりと楽しめます。
BoardConnect (説明動画)
<スマート革命で進むセルフサービス化>
スマート革命の結果、上記の事例で明らかなように接客のセルフサービス化が一挙に進みます。そうなれば社員の数は減らされるか、更に高度なアドバイス=スマートな役割に変わると言われ始めています。
筆者が参考にしているのは60年代に起こった類似事例であるオンラインバンキングです。銀行オンライン導入の結果、ATMが導入され、預金の預け入れや引き出し、振り込みは基本、生活者によるセルフサービスに変化しました。その結果、銀行員の仕事は保険の販売や投信の販売などのコンサルティング営業=アドバイスの役割が中心になりました。ある意味でスマートに変化した訳です。
同じことはこれから客室乗務員の業務、店舗の接客などで広範囲に発生するでしょう。
スマート革命による接客のセルフサービスの進展は、接客をする側の社員の自律と多様な能力発揮を求める契機となると考えられます。