Web新書創刊、朝日新聞のマイクロ取引は成功するか?
広告費のインターネットシフトなどで紙の新聞は窮地に追い込まれています。これは世界的な傾向ですが日本も例外ではありません。
電子新聞の有料化に関して米国新聞協会は記事一本10セントのマイクロ取引やむなしというレポートを出していますが、流石の新聞王、ニュースコーポレーションのルパート・マードック氏も踏ん切りがつかず、英国タイムスの電子新聞有料化の場合には1日単位の購読料を請求し始めました。
これではグーグルを相手に訴訟をすると息巻いた勢いが萎えて来ます。
そう言った国内の朝日新聞が一種のマイクロ取引を始めました。直近の新聞の特集を複数編集するなどして一冊105円のWeb新書を始めています。
ブラウザーで購読する電子書籍です。
そして講談社、朝日新聞出版、時事通信社、小学館、ダイヤモンド社、文芸春秋も参加し、コンテンツを提供します。
引用(ITEMEDIA下記記事)
朝日新聞社がテキストコンテンツの販売ポータル開設。新聞・雑誌の記事を切り出し、「Web新書」として有料配信する。
引用終わり
引用(ITEMEDIA下記記事)
当初はすべて105円で販売する。
朝日新聞社、講談社のほか、朝日新聞出版、時事通信社、小学館、ダイヤモンド社、文芸春秋もコンテンツを提供する。今後、コンテンツを増やすほか、参加企業も募る。
引用終わり
★★ 「マイクロ取引はマスメディア地位の後退する新聞業界の構造不況を救うか」(2009/11/27)
★★ 新聞・雑誌記事を“Web新書”として電子書籍に 朝日新聞が新ポータル
<過去記事なら値段が高すぎる>
既存の記事の編集に105円とはちょっと値段が高い気がします。特に過去記事ならばどうでしょうか。日経テレコムは一本50円だったと思いますが。
<社会規範の要素が必要なマイクロ取引>
仮想商品や仮想ギフト、音楽など感情要素を含むものも、アップスのような感情要素を含まない物も過去、成功したマイクロ取引に関してはクラウド(ネットコミュニティ)の受け皿があり、大なり小なり市場取引ではなく、社会的交換の要素がありました。
自宅のパーティに招かれてお土産を渡せば喜ばれますが「食事代を払う」と言えば激怒されます。これが社会的効交換の意味です。一種の仲間取引の意味合いがあります。
スチーブジョブスの音楽は、CDをばらばらに分解し一曲単位のマイクロ取引を実現しましたが、「1曲99セントは音楽の値段ではなく、時間節約のサービスの値段」と言う社会貢献要素をもっていました。
判り易く言えばプログラムを書く腕の無い人がオープンソースのコミュニティにささやかな寄付をする感覚、心付けの感覚が求められる訳です。
仮想商品や仮想ギフトの場合にはゲームの濃いコミュニティが背後にマイクロ取引の受け皿としてあります。
一方日本の放送局が始めたテレビドラマのマイクロ取引は受け皿としてのクラウド(ネットコミュニティ)が想定されていない為、各社とも大苦戦しています。
選挙中にオバマ大統領はコミュニティに対し「政治運動サービスに対する5ドルの寄付を」と叫んで大成功を収めました。
マイクロ取引やマイクロファイナンスはコミュニティが受け皿として必要です。
そしてこの社会的交換が積み重なればグリーやモバゲーに見られるように大もうけが出来ます。突然、市場取引に化ける訳ですね。明らかに複雑系の要素があります。
ツイッターにもミクシイにも足の無い朝日新聞のWeb新書は果たして成功するのでしょうか?