GPT-5と同時に発表されたgpt-ossの「オープンウェイト」モデルとは何か?オープンソースとの違いは?
8月7日に鳴り物入りで発表され、その後「肩透かし」「改悪」など、大きな反響を呼んだGPT-5の影に隠れてあまり注目されていませんが、OpenAIは8月5日にgpt-ossというオープンウェイトモデルも発表しています。そして一部では、こちらのほうがGPT-5よりも大きな意味を持つのでは、とも言われているのです。
その意味については別途まとめてみたいと思いますが、今日はその前段階として、用語の問題について考えて見たいと思います。というのも、この件については以下の様にいろいろな記事があるのですが、
gpt-ossのことをGPTシリーズの「オープンソース版」と紹介している記事が多いのです。これは、gpt-ossという名前から来る誤解だと思うのですが、OpenAIのサイトを見てみると、
サブタイトルに「オープンウェイトリーズニングモデルの限界を押し広げる gpt-oss-120b と gpt-oss-20b」とあり、本文にも
低コストで強力な実世界パフォーマンスを実現する2つの最先端のオープンウェイト言語モデルの gpt-oss-120b と gpt-oss-20b をリリースします。
と書いてあります。どうやら、OpenAIの公式見解としては「オープンウェイト」であり、「オープンソース」では無いようです。
「そんなもの、似たようなものだろうが」と思うかもしれませんが、LLMにおいてオープンソースとオープンウェイトでは明確な違いがあります。以下、ChatGPTの回答です。
オープンソース(Open-source)は、ソースコード全体を公開し、誰でも閲覧・改変・再配布が可能です。AIモデルの場合は、モデルの学習コード、学習データの取得方法や前処理スクリプト、推論コード、トレーニング済みモデルの重み(パラメータ)などが全て公開されます。
オープンウェイト(Open-weight)は、レーニング済みAIモデルの**重み(weights、パラメータ)**と推論に必要な最小限のコードのみ公開します。トレーニングデータセットや学習時のコードや手順、ハイパーパラメータの詳細は公開されません。
オープンソースの利点としては、透明性が高く、再現性のある研究や完全なカスタマイズが可能である点で、オープンウェイトの利点は、高度なモデルを研究者や企業がローカル環境で利用・微調整できることだそうです。「研究や教育にはオープンソース、実用・商用にはオープンウェイト」ということですね。
つまりgpt-ossは、企業が社内にダウンロードして自社環境で自由に使うことができるため、ユーザーが入力したデータが外部に漏れる心配が無い、ということになります。また、パラメータの微調整もある程度可能になることで、自社向けにカスタマイズしたり精度を高めたりできる可能性もあります。
技術やノウハウがまるごと公開されてしまうオープンソースではなく、オープンウェイトという形態をとったのは、OpenAIが自社のメリットと利用企業のメリットを最大化するために選んだ結果と言えるでしょう。
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