【韓国GooglePlay攻略】 韓国でAndroidアプリを出す際に見ておきたいポイントまとめ
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昨年後半はAppStore・GooglePlayなどのネイティブアプリストアがコンテンツのメインストリームになるような流れがほぼ形成されたように感じます。 コロプラのようなネイティブアプリ専門に出していた会社の上場 や、パズドラの国民的な大ヒット でその流れはますます強まりました。
今年はアプリのグローバル展開が本格する年だと思ってます。昨年はどちらかというと、ネイティブ市場で各社試行錯誤をしている段階で、一部の超トップディベロッパー以外は海外へ投資するリソースはさけなかったと思います。 ネイティブストアのみで収益化に成功しマーケティンノウハウもある程度蓄積できた企業が増えてきたので、今年はディベロッパーのグローバルへの投資が本稼働してくるでしょう。
Androidアプリでは直近で一番盛り上がっていて、かつ日本から距離的・文化的にも近い韓国展開についてまとめてみます。
●Android大国の韓国
自社のアプリ収益化ビジネスはAndroidOSでしかサービスを展開していないので、韓国は最もシナジーを効かせやすい国のひとつです。 韓国はAndroid端末で世界一のシェアを持つサムスンがあり、LGも存在しています。当然韓国市場においてもこれらの企業が作っているGalaxyシリーズ等の端末のシェアが異常に高いです。
2ヶ月前ほどのデータでは韓国におけるスマートフォンOSのAndroidのシェアは78%で、8割に迫る勢いです。逆にiOSに関しては18%程度のシェアにとどまっています。 日本がAndroidとiOSが半々ぐらいだと考えると、Androidが支配的なシェアを握っていると言えます。 実際に地下鉄に乗っていてもGalaxyだらけですし、携帯ショップに言ってもGalaxyかLGの端末が全力でおすすめされています。
地下鉄でみんながスマホをいじっているので、何やってるか覗いてみるとカカオトークでチャットしているか、 カカオゲーム(Anipang、DragonFlight)とかを老若男女問わずやっていました。けっこう異様な光景に移りましたが、日本も他の国から見ると同様に異様なんだろうなと思いました。
そして通信環境は日本と同等かそれ以上に速いです。外でレンタルwifiのサービスを借りてスマホをやっていてもかなり快適にネットサーフィンができます。通信環境に関しては国を上げて向上を図っているようで世界一に近い速度です。
●「Google Play」と「Tstore」
ちょうど昨年の6月ごろ色々調べていた中では、アプリに関してはGoogleが運営するGoogle Playよりもキャリアが運営するTstore のほうはシェアが高いと感じていたのですが、 カカオゲームが本格的にオープンした夏以降は状況は一変していました。
Tstoreは韓国大手通信キャリアSKTが運営する独自Androidアプリストアですが、世界的に見ても独自アプリストアが成功した希少な例で、 世界中のキャリアはTstoreをベンチマークに独自ストアを立ち上げていたと記憶しています(確か日本も)。
昨年のちょうど夏ぐらいにGoogle Play上でカカオトークがゲームセンターを開放して、 1000万DL以上、月商数億円規模のアプリが出るようになってからはユーザも、ディベロッパーも徐々にGoogle Playのほうを主流に考えるようになって いったようです。実際に現地のアプリ開発者の話を聞いていても、夏前の話と秋以降に聞いて話が真逆になっていて、カカオのインパクトは凄まじいものなんだと認識できました。
アンケートなどは公表されていないのでなんとも言えないですが、Google PlayとTstoreのシェアは6:4ないし7:3ぐらいになっているような感覚です。 実際には二つのストアを併用しているユーザが多数だとは思いますが、カカオゲームが1000万MAU以上のゲームが存在しているところを見ると(韓国の人口は5000万人)おおげさな数字ではないでしょう。
一部記事にもなっていましたがカカオトークとTstoreの運営方針は真逆です。ひとことで言うとクローズとオープン(なんだかAppleとGoogleようですが)。 カカオトークは限られたディベロッパーにしかプラットフォームの参加を認めていません。なのでカカオに乗りたい人が順番待ちをしているような状態です。 Tstoreは簡単な審査はありますが、基本的に全ディベロッパーに開放されています。ただカカオのように何百万ダウンロードのような送客をしてくれるわけではないので自社でマーケティングが必須になります。 最終的にどっちがうまくいくかはわからないですが、ディベロッパーに対するインパクトの意味ではカカオゲームのほうが大きいようです。
●PCオンラインゲームからモバイルゲームへ
韓国は昔からオンラインゲームが一大産業として有名で、市場規模は日本円で6400億円程度と言われています(日本のソーシャルゲーム市場よりも大きいですね。)。 ただPCオンラインゲーム大手企業はスマホ普及からのモバイルゲームの波にさらされて、業績があまり思わしくはないです。 韓国オンラインゲーム企業の生き残りはスマートフォン対応が鍵と言われていて、スマホ対応が株価にも影響を与えているようです。ここらへんは日本も韓国も変わらないですね。
各社全力でも開発リソースをスマホゲームに当てて生き残りを掛けて争っています。韓国最大のゲームショウ「G-STAR 」でもスマホゲームだらけで、 ここはモバイルゲームに特化したイベントなのかと勘違いしてしまう程でした。 ただ売上ランキングを見ると大手各社のスマホゲーム対応はそれほどうまく言っているようには見えません。世界のヒットゲームを参考に各社試行錯誤の段階にあるように思えます。
むしろ小規模の小回りの効く企業が大きな実績を出しています。カカオゲームで大ヒットしているDragon Flightも非常に少人数(外部委託合わせて4名?)程度で作られたゲームですし、 Anipang開発したSUNDAYTOZもベンチャーの部類に入る企業です。今後資金力勝負になったら徐々に大手のハイクオリティのゲームがシェアをとっていくのかもしれません。
●韓国Google Playの売上ランキング
ほぼリアルタイムの韓国GooglePlayの売上ランキングトップ50位ぐらいまでです。ご覧の通り上位はカカオゲームが占めています。100位ぐらいまではカカオのアイコンがついているアプリが高いシェアを持っています。ちなみにカカオゲームのシェアは売上24位以内だと50%、売上48位以内だと41%です。
赤○がカカオゲームのアプリ、青○が日系企業のアプリです。
傾向の1点目としてはカカオゲームでもヒットするものとヒットしないものが明確に分かれてきています。どのアプリもアベレージで100万ダウンロード以上ありますが、 売上ランキングで200位とか300位のものも存在しています。200位以下だと月商で100万円もいかないと思います。逆に上位は月商億単位の売上なのでその差が激しいです。
もう一点目は日本のコンテンツが売上上位にはけっこう多いです。Cygamesの神撃のバハムート韓国版や、日本でも国民的ヒットになったパズドラ、 スクエニのソーシャルゲームのミリオンアーサー など日本でヒットしたアプリの多くが韓国でもランクインしています。
韓国と日本の売上ランキングの上位はほとんどがゲームですが、ゲームをやると人でしたら日韓の売上一覧を見ると性質が違うことに気づくと思います。
日本の売上トップのゲームはいわゆるソーシャルゲームに代表されるミッドコアのジャンルに属するものがほとんど。MMORPGなどのコアゲーマー向けでもなく、 かといってパズルのようなカジュアルゲームとも言えない中間層です。ユーザの母数が少なくとも高ARPUのため売上ランキングに入ります。 LINEPOPのように何百万ダウンロードのユーザ母数を稼げないと日本ではカジュアルゲームを売上トップまで持っていくのはかなり難しいです。
逆に韓国はもともと莫大なユーザ母数をもつカカオゲームが中心ですので、売上トップのゲームはほとんどカジュアルゲームです。コアゲーマ-ではなく、 女性からお年寄りまで全国民が楽しめるようなゲームが売上トップを占めています。日本で売上のあるミッドコア層向けのゲームの領域は韓国では品薄です。
韓国でカードバトルが流行の兆しを見せているのもカジュアルゲームにあきたユーザがもう少し戦略性のあるゲームを求め始めているのではないかと勝手に思ってます。 日本のモバイルゲーム市場の初期は簡単なミニゲームから始まりソーシャルゲームが登場して、最終的にはカードバトルにたどり着いています。
これと同じ流れがスマホの普及によって韓国でも何倍ものスピードで起きている と見ています。
●新着ランキングの傾向
次に韓国での新着ランキングをリアルタイムで見ていきます。
トップ15位圏内はカカオゲームが占めています。新着掲載期間(30日前後)でカカオ系アプリのインストールレンジは100万~500万ダウンロードの間です。 カカオ系アプリは1週間に数本のペースでリリースされます。日本のLINEよりもリリースされる本数が多いので、「人気の無料(新着)」での占有率も相当高いです。
赤○がカカオゲームのアプリ、青○が日系企業のアプリです。
日本との違いで言えば自社でパブリッシングする企業がまだそれほど多くないです。日本ではソーシャルゲームプラットフォームやLINEなどは強いですが、 大手ゲーム企業が直置きでゲームを出して自社でプロモーションまでやっているので、絶対的な強者がなくパワーバランスがある程度は保たれているかなと思います。
韓国ではカカオトークの力が圧倒的でマーケットリーダーでもありますので、カカオに参加せずに売上を立てて成功できるエコシステムを作れるプレイヤーがまだいないです。 そのためか、マーケティングの精度やデータに関しても日本よりも非常に少ないです。 今後市場を作っていくプレイヤーは現れてくると思いますが、現状直置きアプリに関しては隙間が空いている状況のように感じます。
新着ランキングに関してもうまいぐあいにカカオゲームとバッティングを避けれればぎりぎり一桁のラインは狙えます(ただし5位以内はプロモだけではかなり厳しい)。
新着ランキングに掲載された後の自然流入数はここでは詳しく増れませんが、いくつかの事例を見ても日本よりも多いです。
これは日本ではアプリを日常的に使うアクティブなユーザ層はiPhoneを持っている傾向が強いですが、韓国ではアプリを使うユーザ層もAndroid端末を持っているからだと思います。 AndroidOSのシェアとスマートフォンの普及率から考えても韓国のほうがユーザの母数は大きいです。ちなみにAppAnnieの世界GooglePlayのダウンロードシェアは韓国で11%で世界2位に対して、 日本は6%で4位です。個人的にはこの数値はかなりしっくりきます。
●日韓のユーザやゲームの違い
ここでは主にゲームの話なのでその他のジャンルには当てはまらない可能性があります。ゲームだけだとざっくり下記の点に目がいきます。
(1) 友達招待のパーセントが高い
日本では友達をゲームに招待する行動は、けっこうハードルが高いです。超カジュアルゲームならまだわかりますが、 ミッドコアないしコアゲームでは趣味が共有できるコミュニティに属していないとなかなか使いづらいです。
かなりアグレッシブに招待機能を押し出したり、強力なインセンティブがないとユーザは動いてくれません。まだスマホのゲームに関しても一人でやるものである認識がまだまだ強いです。 オンライン上でならともかくリアルな友達を誘うハードルは高いです。
データだけで見ると韓国は友達を招待するパーセントが日本よりも顕著に高いです。なぜこうなるのかは個人的な推察でしかありませんが、ゲームそのものが国民的なもなので、友達を誘う心理的なハードルが日本よりも低いのかもしれないと思いました。
また特に何も仕掛けをしなくとも一定のユーザ規模になると勝手にまとめページや攻略情報を交換しあうコミュニティのようなものがWeb上で立ち上がります。 日本だと2chとかでも一部スレッドが立ちますが、もうちょっとオープンな感じでユーザ同士がゲーム外で情報交換しあう場が勝手に出来上がっていきます。 日本だとGREEやmobageなどのゲーミングプラットフォーム内でのコミュニティにあたるものが、外部で立ち上がるイメージです。
そして日本だと年齢層やジャンルによってソーシャルメディアは分散されていて、LINEだったりtwitterだったりfacebookだったりmixiだったりするので、それぞれ対応していないと機会損失になります。
韓国の場合はスマホの招待やコミュニケーションはカカオトークが圧倒的でそれ以外のtwitterとかfacebookとかはあまり使われていませんでした。 やはりこういったゲームの招待などはクローズドなサービスのほうが話題に上げやすいようです。
(2) ARPUはやや低め(ゲームによるが)
ゲームにもよりますが、ARPUに関しては日本よりも低い傾向にあります。課金に対するハードルはカカオゲームの登場により下がっていますが、 カジュアルゲームを中心に市場が形成されてきたため1ユーザあたりの課金額に関しては日本よりも全体的に低いです。特に日本円で月1万円以上の課金者は日本に比べると極端に少ないような感触があります。
日本で少ないDAUと超高いARPUに支えられているゲームはKPIが大きく変わってきます。 低ARPU&高DAU系ゲームであれば日本と韓国はそれほど変わらないでしょう。
(3) Webビュー型アプリは希少、ネイティブが中心
日本はガラケーから続くモバイル公式コンテンツ市場とそこから続くモバイルソーシャルゲーム市場の拡大のため、Webベースでアプリを運用するのが得意な企業が多いです。 逆にネイティブ(java、Objective-C)でのアプリ開発は得意ではなく、ここに関しては人材も市場には少ないです。
韓国はガラケー時代はキャリアによる制限などで市場が拡大しなかったため、モバイルコンテンツは最初からスマホです。 ほとんどのアプリはネイティブベースで作られており、かつオンラインゲームからの開発ノウハウがあるためクオリティが非常に高いです。 特に3Dとかはコンシューマにも劣らないレベルのアプリを作れる企業がけっこうあります。
ただやはり運用に関しては日本のゲーム企業はピカイチで、デイリーでKPIを把握しながらパラーメータの調整をしているディベロッパーはまだ外資ではお会いしたことがないです。 韓国モバイルゲームに関してもそこまで緻密にイベントやチューニングなどをしている企業は多くないなと感じました。
今年は日系企業はネイティブ開発力強化が課題になり、韓国やアメリカの企業はARPUを高めるたけの運用ノウハウの獲得などが課題になると思います。
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