オルタナティブ・ブログ > 中村昭典の気ままな数値解析 >

●人、●%、●億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

【50】 日本人のプレゼン下手は「プレゼン=パワーポイント」という勘違いに根ざしている

»

 GWもあっという間に終わりました。長い休というのはいつも同じで、待っているのは長いけど、過ぎるのは早い。みなさんはどう過ごされましたか。

 私は毎年、GWには遠出をしません。単純に混んでいるからです。今年は本を読もうと決めていました。机上に積まれた本や書類の山を何とかしないと、どうにも落ち着かない。本棚やファイルに綴じ込んでしまうのは簡単ですが、それではあまりに大人げない。そこでGWをその消費強化週間と決めたわけです。今日はそんな中で手にした1冊を紹介したいと思います。

 ::: ::: :::

 ビジネスパースンなら誰でも1度はプレゼンに関する書籍を手にしたことがあるのではないでしょうか。ちょっとした書店にいけば、プレゼンテーションやコミュニケーションに関するコーナーができており、たくさんの類似書が見つかります。そこで難しいのが、どれを読むべきかということです。人によって解決したいことが違うでしょうから、万人に該当する鉄則はありません。だからたくさん本が出ているのです。
 
 『プレゼンバイブル 人を動かす50の黄金律』(ソフトバンククリエイティブ刊)は、経営コンサルタントの八幡紕芦史氏が書かれた新刊です。タイトルにあるように、プレゼンの鉄則が50のルールにまとめられた、いわゆるノウハウ本です。私も仕事柄、プレゼンを行う機会が多いので、折に触れてプレゼン関連の書籍には目を通しているつもりですが、八幡氏は豊富なビジネスキャリアに基づき、体験談より抽出した鉄則を明快に示しており、とても共感値が高い項目が多出してきます。

 この書に惹かれた一番の理由は、amazonに記されていた「日本人のプレゼン下手は「プレゼン=パワーポイント」という勘違いに根ざしている。本書では、「プレゼン=コミュニケーション」という考え方に立ち、コミュニケーションで勝つプレゼンの極意を紹介する」というフレーズです。これは私も強く感じていることです。類似書には、いわゆる「パワーポイントの使い方」本とも言えるような書がたくさんありますが、これは大きな落とし穴だと思っています。パワーポイントはあくまでも道具に過ぎないと悟るところから、プレゼンは始まるんですよね、八幡さん!
 
 内容も一部紹介しておきましょう。プレゼンする自分より、聞き手を重視している点は、プレゼン経験の豊富さをよく現していると思います(第1章)。またプレゼンする内容を、いかにコンパクトに絞り込むかという視点でまとめられた第2章は、鉄則のオンパレードで、すぐに使えるノウハウが集められています。そして後半にはプレゼンのデキを左右する姿勢やマナー、話し方など微に入り細に入り解説されていますが、これも人によっては使えるノウハウが豊富にあるでしょう。

 ::: ::: :::

 私がプレゼンをテーマとした本『伝える達人』(明日香出版社刊)を出したときに、一番心を砕いた点は、通り一遍のノウハウ本にしないということでした。プレゼンは机上の空論では通用しない。これは身をもって知っています。そこで体験談をベースにしようと決めたわけですが、今回私が八幡氏の『プレゼンバイブル』を手にした理由も、同じエッセンスを感じたからに他なりません。

 ただ、『伝える達人』は、課題の掴み方や解決策の見つけ方など、プレゼンの手法ではなく中身をどう組み立てるのかに重点を置いたのに対して、『プレゼンバイブル』は、サブタイトルにもあるように、プレゼンにおいて人を動かす手法について語っています。どちらが役立つのかは、読む人が何を解決したいのかによって異なってくるということでしょう。

 いずれにせよ、プレゼンは実践がすべてです。どんなノウハウも実践の中でアレンジしながら、自分なりのものに変えていくことになるのでしょう。充電の後は、実践するのみですね。。。

 
Comment(0)