お受験のススメ
なんだかんだで1ヶ月ぶりの更新になってしまいました。本業が忙しかったり、本を書いていたりと理由は様々なのですが、その1つがタイトルにある通り「お受験」。娘が来年から小学生ということで、受験するという選択肢を選んでみました。まだ国立の試験が残っているのですが、幸い私立校で合格することができ、胸をなでおろしているところです。
正直な話、「お受験」という言葉にはネガティブな響きも含まれていると思います。極端に言えば、「狭き門に入れるために、小さな子供に無理やり勉強させる」というイメージですね。実際に文部科学省のデータによれば、国内で私立もしくは国立の小学校に通っている子供の割合は、在校生全体のおよそ1.7パーセント(ただし都内限定だと5パーセント程度になるようです)。もちろん子供たち全員が私立/国立を志望するわけではないので、単純には言えませんが、小学校から公立以外の学校を志望するというのが特殊な話であることは間違いないでしょう。個人的にもネガティブなイメージがあり、あまり無理はさせたくないという思いから、「お受験塾」のようなところには通わせませんでした。
ただ、最終的にはお受験という経験ができたことは良かったと感じています。それは結果が出たからという面があることも否定できませんが、それ以上に「自分の子供にどのような教育環境を与えたいか」というテーマについて考える機会を持つことができたという点が、何より有意義でした。
前述の通り、小学校は公立校に通わせるというのが普通の状況です。恥ずかしい話ですが、自分自身「まぁ小学校は地元の公立校に進むんだろうな」的に構えていて、今年の春まではほとんど何も考えていませんでした。しかし夏ぐらいから私立校の学校見学会が開かれるようになり、様子見程度に参加していると、様々な学校の特色が見えてくるわけですね。「小学校から英語に積極的に取り組むべきだ」「いや必要ない」、「やはり詰め込み型も取り入れるべきだ」「いやゆとり教育は間違っていない」、そして究極的には「小学生のうちは公立校で良いのだ」「いや可能なら私立に行かせるべきだ」、などなど。いままで何の対立軸も無かった世界に、突然壁と立ち居地が現れたような状況でした。
しかしそうした対立軸ができたことによって、自分が小学校での教育に何を求めているのかを認識できたように感じています。その結果、私立校を志望するという答えを出したわけですが、ただそれが唯一絶対の正解だとは思っていませんし、当然ながら公立校を選ぶということも1つの答えです。それよりも、いくつかの選択肢を前にして考えるという機会が得られたこと。それ自体が、お受験という道を選んで良かったと感じた点でした。
ミジンコは通常の状態ではメスだけで、単為生殖によって増える(つまり自分のクローンを作る)のですが、干ばつなど生存が厳しい環境におかれると、オスが登場し有性生殖を行うそうです。本来であれば過酷な状況の時ほど、簡単に子孫を増やせる手段を取ったほうが良さそうなものですが、逆にバリエーションを増やして生き残る固体が出てくることを期待するという戦略を取っているわけですね。それと同様に、急激な変化に直面している私たちは、これまでのやり方を無批判に継承するのではなく「様々な可能性を考える」というアプローチを取るべきではないでしょうか。
ミジンコと人間社会を比べるなと怒られてしまいそうですが、教育の世界でも同じ考えを取ることができるでしょう。その意味で、仮に実際には受験しないという結果に終わったとしても、お子さんのいらっしゃる家庭では「お受験」について考えてみることは有意義ではないかと感じています。
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