【書評】2010年必読の一冊『みんな集まれ!』
以前ご紹介した、クレイ・シャーキー氏の"Here Comes Everybody: The Power of Organizing Without Organizations"がついに邦訳・出版されました。タイトルは『みんな集まれ! ネットワークが世界を動かす』。ご紹介が遅れてしまいましたが、筑摩書房さんからご献本いただきましたので、改めてご紹介したいと思います。
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ちなみに以前書いた書評はこちら。ほぼ1年前になりますね:
■ 【書評】Twitter革命を理解するための一冊"Here Comes Everybody"
一言で表すなら、"Here Comes Everybody"は「ソーシャルメディア社会論」が語られた一冊と言えるでしょうか。ツイッターを使った政治活動や、SNSを通じた抗議活動など、ソーシャルメディアが人々の行動を拡張・変化させるようなケースが最近増えているわけですが、新しい技術がいったい何を変えたのか、そして何を変えていないのかが考察されています。一見するとツールの登場によってもたらされたと思われるような変化であっても、その裏では様々な社会的要因が組み合わさっていることが分かるでしょう。
さて、改めて本書を読み直してみたわけですが、原著が出版されたのは2008年ということもあり、やはり登場する事例は若干古くなってしまっています。ただし本書の目的は事例を紹介することではなく、様々な出来事の裏側にあるメカニズムや原動力を明らかにすること。従って本書の理論は普遍的に活用することができるものであり、逆にいま起きつつある出来事にピッタリと当てはまることを実感できるのではないでしょうか。その意味で、本書は2年後に読んでも、3年後に読んでも新たな気づきを与えてくれる本になるのではないかと思います。
ちなみに改めて読み返してみて、"Dodgeball"(いま話題となっているFoursquareの前身サービス)の創業者デニス・クロウリー氏とアレックス・レイナート氏がシャーキー氏の生徒だったという記述を発見。ということはFoursquareの成功の背景にはシャーキー氏の存在が……という流れにはならないと思いますが(笑)、実際にソーシャル系サービスを運用・活用しているという方々にとっても、非常に参考になる一冊だと思いますよ。というよりも、ソーシャルメディアに興味がある方であれば、間違いなく2010年必読の一冊になることを保証します。
【○年前の今日の記事】
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