「マルサの女」、ソーシャルメディアへ
昔々『マルサの女』なんて映画がありました(もう20年前の作品なのですね!)。あの手この手で脱税しようとする人々を、国税局の人々がこちらもあの手この手で追い詰めていくという内容でしたが、現代のマルサはバーチャル世界まで相手にしなければならないようです:
■ That person you friended just might be your friendly taxman (The Inquisitr)
Twitter や Facebook で見知らぬ人からフォロー/友達リクエストされたら、特に気にせず認めてしまうか、場合によってはフォロー返しまでしてしまうという方も多いのではないでしょうか。僕も「スパムでなければ多くの人々と交流できた方がいい」派なので、こういう対応を取ってしまうことが多いのですが、もしかしたら税金逃れをチェックするために国税局(米国の場合はIRS、内国歳入局)が設置したアカウントかもしれないよ、という話です。確かにソーシャルメディアはライフログの宝庫なわけですから、うっかりと脱税を臭わすような発言をしてしまったり、急に羽振りが良くなったことを感じさせてしまうのかもしれません。
実はIRSの職員がニセの情報を使って「友達登録」することは認められていないそうなので、こうしたケースが実際に発生することはほぼないだろうとしているものの、政府機関がソーシャルメディアに目を付けているのは事実。法律で許される範囲内で情報を集め、実際に脱税摘発に結びつけているようです。例えば:
■ Is 'Friending' in Your Future? Better Pay Your Taxes First (Wall Street Journal)
In Minnesota, authorities were able to levy back taxes on the wages of a long-sought tax evader after he announced on MySpace that he would be returning to his home town to work as a real-estate broker and gave his employer's name. The state collected several thousand dollars, the full amount due.
ミネソタ州では、当局がずっと追い続けていた脱税者に対して、ついに追徴課税が行われることになった。この男は MySpace 上で、故郷に帰って不動産ブローカーの仕事をしていることを書き込んだ上に、雇い主の名前まで明らかにしてたのである。ミネソタ州は数千ドルを全額回収した。
うーん、日本でも某巨大SNS上で「ついつい」悪事を語ってしまうケースがたびたび話題になりますが、それと同じような感覚なのかもしれません。しかしこちらはネタや炎上ではなく、当局が実際の捜査の場としてソーシャルメディアを位置づけていると。
日本でもそのうち、ソーシャルメディアやライフログのサービスを専門に調査する部署(某9課?)ができて、ささいな書き込みから隠された事実を探るノウハウが蓄積されたりして。いや、既にそんな組織があって、一般人を装って人々のデータを収集しているとか?うーん、そうなると、Twitter で数千、数万人単位でフォローしている人々が怪しくなるな……。
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