自転車通勤者向けサービスの可能性
週末ですし、取り留めのないエントリをひとつ。ちなみに以下で登場するアイデアは、Twitter 上で様々な方々と会話させていただく中で生まれました。さも自分が思いついたように語っていますが、大部分はどなたかの受け売りです(笑)。
最近のエコ志向の高まりか、はたまた経済環境によるものかは分かりませんが、自転車通勤が以前よりも話題に上るようになってきています。海外でもそんな流れがあるようで、オーストラリアでは自転車通勤を行う人々のために、駐輪場+アルファなサービスを行う企業が登場したそうです:
■ Full-service bike station for commuting cyclists (Springwise)
紹介されているのは"Cycle2City"という施設。要は駐輪場なのですが、自転車通勤者向けとあって用意されているサービスが特徴的です。駐輪スペース+エアコン完備のロッカー+シャワー+ランドリー+無料の自転車メンテナンス講座、一式で1ヶ月120オーストラリアドル(約8,500円)とのこと(ちなみに6ヶ月だと660オーストラリアドル、約4万7,000円)。オフィスに行く前にシャワーを浴び、スーツに着替え、ついでに汗で濡れた服の洗濯もというわけですね。1ヶ月の通勤定期代が1万円弱、という方も多いでしょうから、企業が契約して希望者に利用可能にする……なんて展開も可能かもしれません(ついでにCO2削減に貢献したということで、政府からの補助金も期待)。
Twitter でこのサービスについて語っていたら、日本にも同様の施設があることを松尾さんに教えていただきました:
■ 麹町に駐輪場完備のランナーズステーション-自転車通勤者の拠点に (市ヶ谷経済新聞)
麹町にある「ランステプラスバイクKOJIMACHI」について。文字通りランナーと自転車通勤者のための施設で、
施設内には駐輪場(24台分)のほか、男女7基ずつのシャワーユニットと更衣用ロッカー、会員制の契約ロッカーを設置。コミュニケーションスペースやサプリメント、ドリンク、バイクの緊急メンテナンス用品などを取り扱うショップスペースも設ける。
とのことですから、オーストラリアに負けていませんね。ただバイク会員(駐輪場、専用ロッカー、シャワー利用料を含む)が月額2万3,000円とのことですから、まだ若干高め。同様のサービスが増えてコスト削減・価格競争が進み、定期代と肩を並べるようになれば、自転車通勤を考える人がますます増えるかもしれません。
しかし自転車通勤で不安なことの1つは、「もし帰りに運転できない状態(飲酒や疲労、自転車の故障、悪天候などなど)になったらどうしよう?」という点ですよね。しかしこれについても、以下のような解決策が現れ始めています:
- ニセコ町内循環バス“ふれあいシャトル” (自転車が積めるバス)
- 徳島四国タクシー・自転車も運ぶ四国タクシー別料金不要 (自転車が積めるタクシー)
まだまだ気軽に利用できる状態ではありませんが、それでも「いざという時には自転車以外で(できれば自転車と一緒に)自宅に帰れる」という保険があることで、自転車通勤への敷居はぐっと下がるでしょう。自転車の代行運転サービス、酔いつぶれたら自転車を置いていける居酒屋、なんてサービスも可能かもしれません。さらに電話一本で駆けつけてくれて、仕事や食事の間に自転車のメンテナンスを行ってくれる自転車屋さんとか。
さらに以前、個人ブログでこんなネタを取り上げたことがあります:
■ 「銭湯ランナー」を探せ (Polar Bear Blog)
銭湯がランナー向けのサービスを始めた、という話。なぜ銭湯が?と思われるかもしれませんが、ジョギングをする方にとって銭湯は「ウェアに着替えるための更衣室・荷物を置いておくためのコインロッカー代わりになる上に、走り終わった後は風呂に入れる」という素晴らしい場所なわけですね。そう考えると、銭湯や健康センター、スポーツジムといった系統の施設が自転車通勤者向けのサービスを始める……という展開も考えられるかもしれません。銭湯だと朝も店を開けるというのは難しいかもしれませんが、オフィス街のスポーツジムであれば、通勤時間帯の稼働率を高める効果が期待できるのではないでしょうか。
ずらずらと書いてきましたが、ここで述べてきたようなことは、既にどこかで当たり前の話になっていてもおかしくないアイデアだと思います。さらに極端な発想――例えば都心から遠く離れた場所に住んでいるので、全行程を自転車で走ることはできないという方々のために、「女性専用車両」ならぬ「自転車持ち込み許可車両」を設けるなどといったアイデアだって考えられるでしょう(それなら欧州の諸都市で始まっているように、レンタル自転車サービスの普及の方が良いかもしれませんが)。落ち目の自動車関連産業をどう救うか?という議論も大切ですが、ちょっと自転車の方にも目を向けてみて欲しいなどと思った次第です。
【○年前の今日の記事】
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