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「見える化」で省エネを

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家庭の消費電力を「見える化」して、省エネ意識を高めようというグッズが登場したとのこと:

The Wattson Keeps You Kyoto Compliant (OhGizmo!)

DIY KYOTO'S WATTSON (Inhabitat)

DIY Kyotoという企業("Kyoto"とはもちろん、温室効果ガスの排出量削減目標値を定めた「京都議定書」から名付けられています)が発売した、"The Wattson"という製品:

Diy_kyoto

家庭の電力供給源に装置を付けると、そこから上記の端末(木製)にワイヤレスでデータが転送され、リアルタイムで消費電力が確認できるそうです。ちなみに下から出ている赤い光は、消費電力量によって強さが変化するとのこと。これを見ながらまさしく「DIY Kyoto(家庭で京都議定書の目標に貢献しよう!)」というわけです。

以前Polar Bear Blogで、『「説得上手」の科学』という本の中で解説されていた、説得に関するこんな実験をご紹介したことがあります:

アメリカのある大学で、学生達にリサイクルのために不要な紙を集めさせるという実験を行ったそうです。それは「リサイクルは○○だから重要です」とった風 に理由を述べて説得するのではなく、単に学生達の集まる部屋に「昨日はこれだけ紙が集まりました」という張り紙をするだけというもの。たったこれだけなの に、紙の回収率を上げるのに劇的な効果があったそうです。

この「単純な事実だけを提示することで他者を説得する」という手法には「フィードバック法」という名前が付けられています。「○○しろと直接的に言われるよりも、単に客観的な数値を見せられた方が、押し付けられたという感覚が減って行動に結びつきやすい」そうです。

今回の「Wattson」も、同じような効果を望めるのではないでしょうか。「温室効果ガス削減のために、××を止めよう!○○しよう!」と声高に 叫ぶよりも、「消費電力」という単純な事実を突きつけるだけで、態度を変えようとする人は多いと思います。むしろうるさく言われるよりも、自主的に行動するようになるという効果を見込めるかもしれません。また人間の心理として、例えば昨日「消 費電力は100(単位不明)」だったとしたら、「今日は90にしてやろう」という気持ちになるのではないでしょうか(題して「毎日体重計に乗るとダイエッ トしたくなる」効果)。

単純な事実を「見える化」することによって、大きな効果を発揮することを狙うというアイデアは、他の分野にも応用できそうです。例えばメールアプリケーション/WEBメールサービスのアドレス帳に、「この相手に最後にメールを送ってから、○日○時間が経過しています」なんていう表示が出るようになったら、「久しぶりにこの人にコンタクトを取ってみようかな?」なんて気分になるのではないでしょうか。社内情報共有を行うシステムであれば、ログインする度に「あなたが最後の投稿を行ってから○日○時間が経過しています」なんて表示するのもいいかも(こちらは少しうっとうしいですね)。

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