待たされるほど、お金を払いたくなる?
以前「待たされるほど、料理はおいしくなる?」というエントリを書きましたが、それに関連した話ということで。「時間をかけて作られた料理は、なんとなくおいしく感じる」というのと同様に、あるサービスに長い時間がかかると、そのサービスを上質だと感じてしまう傾向があるのだそうです:
■ When Taking A Long Time Is Seen As A Good Thing (ScienceDaily)
シンガポール大学とトロント大学の研究者が行った研究で、「消費者は『長さ』がサービスの質を決める要素ではないと理解しているものの、その2つに相関関係があると感じてしまう傾向にある」という結果が出たそうです。例えばカギ開けサービスにおいて、鍵が早く開いたときよりも遅く開いたときの方が、提示された料金を「良い」と感じたとのこと。研究者たちはこの傾向が生まれる理由について、「その方が評価のプロセスを単純化できるから」としています。
この結果、普段の生活でも実感できますよね。料理の例もそうですが、頼んでからすぐに出てくるよりも、ちょっと待たされた方が「ああ、ちゃんと作ってくれてるんだ」と感じてしまう……実は裏では「レンジでチン」してるだけかもしれないのに。しかしサービスが専門的になればなるほど、その内容を判断するのは難しくなりますから、「品質=かかった時間」という単純化が行われてしまうのも仕方のないことなのでしょう。
ただし。この傾向には前提条件があります。「価格情報が提示されていない場合は、時間が評価とは関係なくなる」とのこと。つまり「カウンセリング料金:10分あたり500円」のような情報が存在することにより、「時間を判断の基準にすればいいのだ」という意識が生まれるということですね。逆に言えば、時間と品質に相関関係がない場合でも、時間をベースにした料金体系にしてしまえば消費者はダマされる(怠ければ怠けるほど、収入アップ&顧客満足度アップ!)……ということになります。
まさか皆さんの中に、そんなダマシのテクニックを使っている方はいらっしゃらないと思いますが……。消費者として、そんなごまかしに騙されることのないよう、十分に注意が必要ということですね。逆に「短い時間で高い品質を実現しようとしている企業」が評価されるようになって欲しいと思います。