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「集いのツール」としての Wii

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海外の記事ですが、最近「Wii パーティー」という言葉を目にしました。その名の通り、Wii のゲームソフトでパーティーを開くことを指した言葉だそうです:

Chips, Dip and Nintendo Wii (Advertising Age)

イベントを開く際に招待客の管理などをしてくれる"Evite"というオンラインツールがあるのですが、その中に登録されているものだけで、1ヶ月に100件を超える「Wii パーティー」が開催されているとのこと。それを受けて、Evite では Wii パーティーを企画するための専用ページを立ち上げたのだそうです。AdAge の記事には Wii パーティーのイメージ画像(?)が掲載されているのですが、おじいちゃん・おばあちゃんの集りの様子で、なかなか楽しそう。

最近のエントリでも触れましたし、既に ITmedia を始め様々なメディアで解説されていますが、DS/Wii はこれまでの「ビデオゲーム」という概念を覆すゲームを世に送り出しているわけですよね。またまた個人的な印象で恐縮ですが、「スーパーファミコン」の時代ぐらいまでは、友人の家にみんなで集まってゲーム大会・時々友人のお父さんも飛び入り参加、なんて光景があったと思います。それが PS2 ぐらいになると、ゲーム=基本的に個人で打ち込むもの、もしくはオンラインで不特定多数の人々と対戦/競争するもの、というイメージになりました。ところが AdAge の記事によれば、Wii は再び「ゲームの周りに(リアルに)集う」という光景を生み出しているわけですね。この辺りは、

That is, video gaming is beginning to transcend the solitary boy-in-the-basement stereotype with a new generation of gamers including women, older people and younger children who want to play in a more social atmosphere.

つまり、ビデオゲームはかつてのような「少年が地下室で孤独にプレイする」というイメージを脱却し、女性や高齢者、年齢の低い子供たちといった「新しいゲーマー」はもっと社交的な場でゲームをプレイしようとしている。

という文章によくまとめられていると思います。

Wii を「ビデオゲーム」のための端末としてではなく、上記のように「リアルの集い」の中心に置かれるツールだと捉えれば、より大きな可能性が拓けてくるのでしょう。カラオケやボーリング、ダーツ、ビリヤードなどなど、ちょっと考えただけでも様々なエンターテイメントが Wii に移植可能なはずです(既に実現されているものもありますが)。またそういったソフトは、3DCGムービーなどのような高い技術は必要とされないでしょうから、技術力よりも企画力、もしくは「楽しさのツボ」を心得ている企業が有利になるはず。そうなると、これまでゲームソフトの開発をまったく手がけていなかった意外な企業が、大ヒット作品を生み出す -- なんてケースも生まれるてくることでしょう。

もしかしたら既に始まっているのかもしれませんが、Wii を病院に持ち込んでも面白いかもしれません。リハビリの運動が楽しくできるようなソフトが開発され、リハビリ患者全員が集って楽しむ、なんて光景が生まれたら素敵ではないでしょうか(そうなると、リハビリのノウハウを持つ医療機関なんかがソフト開発に最適かも)。これからは「男の子一人を長時間テレビ画面の前に釘付けにするソフト」を開発するのではなく、「老若男女のグループに部屋中を動き回らせるようなソフト(そしてそんな集りを何度も開催したくなってしまうようなソフト)」を開発するのが求められるのでしょうね。

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