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計れる髭剃り

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先週の金曜日、ある電気シェーバーの新製品体験会に参加してきました。ナショナルの男性向けシェーバー「ラムダッシュ」ブランドの新機種で、4枚刃が特徴の「ラムダッシュ4」という製品です。ITmedia でも記事が出ていますので、詳しくは以下をご覧下さい:

剃り残しを防ぐ4枚刃、新型「ラムダッシュ」 (ITmedia +D LifeStyle)

銀座にあるクラブという変わった場所で行われたこの体験会、その場でヒゲをそり、さらに小型カメラで肌を拡大して「ホラ、こんなに深剃りできてますね!」が体験できるというもの。僕も実際に剃ってみることができたのですが、さすがに最新機種だけあって、軽く肌をすべらせただけでかなりの深剃りができていましたよ。しかも普段は使い捨てカミソリ派で、電気シェーバーは「肌がヒリヒリする」というイメージを抱いていたのですが、肌にはまったくダメージを感じませんでした(ちなみに Polar Bear Blog での体験レポートはこちら)。

男性用シェーバーの市場は、これまで年間出荷台数が約700万台で安定していたそうです。しかし当日配布されたナショナルさんの資料によれば、2005年度の実績は682万台、2006年度は632万台と下降傾向で、2007年度の見込みは635万台とのこと。詳しい理由は不明ですが、ヒゲを伸ばすということがビジネスの場面でも許されるようになってきていたり、使い捨てカミソリに「電動」「5枚刃」などの技術革新が生まれていることが影響しているのかもしれません(かく言う僕も某5枚刃を使用しています)。いずれにしても、再び市場を拡大するためには新しいアピールが必要なのでしょう。

では「ラムダッシュ」の4枚刃がその新しいアピールになるかというと、個人的には難しいような気がします。もちろん、4枚刃で何も変わらなかったというのではありません。今回追加された4枚目の刃には「3Dパターン加工」という特殊な加工が施されており、深剃りがしやすい構造となっているとのこと。また4枚刃とすることで肌への接地面積が減り、肌に対するダメージも減少しているそうです。上記で述べた通り、実際にこの2つの特徴を実感しているわけですが、体験しないでこの価値を把握できたかどうか……その点を疑問に感じます。特に「深剃り」「肌に優しい」は髭剃り(電気式、使い捨てを問わず)が必ず追求すべきポイントですから、それが「改善されました!」と宣伝されたからといって、いま自分が愛用しているシェーバーからすぐに乗り換える人は少ないでしょう。特に何万円もする電気シェーバーであればなおさらです。

恐らくその辺のマーケティングは、僕に心配されずともプロの方々が考えられることだと思います。こういった体験会を各地で開催して、化粧品のように「使った人々のクチコミ」を広めていくというのも1つの手段ですよね。ただ個人的には、「ラムダッシュ4」でいたく感動した(というと大げさですが)小さなポイントがあります。それがこの液晶表示:

ラムダッシュ4ちょっと暗いですが、手元の部分に「0:03」と表示されているのが分かりますか?実はこれ、髭剃りに要した時間が表示される機能。些細なことなのですが、「いま1分間使いました」と表示されると、「1分だけでここまで深剃りできているのかー」と効果を実感することができます。普段「髭剃りに何分かかったか」なんて意識していませんから、この時間が計測できるというのは新しい価値としてインパクトがありました。またこの液晶は、刃の交換時期などもお知らせしてくれる予定とのこと。こうした「時間の計測」は、使い捨てカミソリでは決して実現できない価値として、電気シェーバーに興味を持つきっかけとなるかもしれません。

以前「はかれる幸せ」というエントリを書きましたが、些細なことが計れるようになっただけでも、大きな価値を提供してくれることがあります。「髭剃り時間」が新しいPRポイントになるかどうかは分かりませんが、例えば髭剃りするだけで「肌荒れ度」「肌の健康度」を計ってくれるような電気シェーバーが登場する……のような方向に向かう可能性もあるのかなと、ふと感じた次第でした。

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