そのデータ、必要です。
Exif (イグジフ)情報というものをご存知でしょうか。ITmedia 読者の方々には常識かもしれませんが、デジタルカメラ用の画像ファイルの規格で、撮影したときのシャッタースピードなど様々なメタ情報が含まれています。最近、この Exif 情報が簡単に確認できるフリーソフトが人気を集めているそうです:
実は2つとも先週土曜日の朝日新聞の記事で知ったのですが、なかなか面白いですね。僕は絞りやシャッタースピードを気にするほどの腕前ではないのですが、それでも「この値が変化するとこういう影響があるのだな」ということが何となく分かります。これからは、単なるお飾りと化していたデジカメの設定メニューを活用できそうです。
話は変わって、最近『10倍売る人の文章術』という本を買ってきて読んでいます。売るための文章(コピーや広告など)を上手に書くには?というテーマの本なのですが、その中にこんなエピソードが登場します:
宣伝文では商品に関するあらゆる物理的事実に言及しなければなりません。さもないと広告の反応率が低下するおそれがあります。
(中略)
以前、はかりの広告を出したときのことです。床のゆえで撮った写真を載せたのですが、はかりそのものの重量は書きませんでした。誰も気にしないだろうと思ったのです。ところが、ふたを開けたら問い合わせがひっきりなし。結局、広告に重量を載せることになったのです。
(中略)
それほど重要ではないと思う場合でも物理的事実を示してください。
つまりモノ/サービスの提供側が「これは些細なことだ」と思っている情報でも、ユーザーにとっては欠かせないものである場合があるわけですね。何でもかんでも掲載して情報洪水になるリスクも考慮しなければいけませんが、ユーザーが必要としている情報を簡単に手に入る状態にしておかなければならない、ということなのでしょう。
翻って、先ほどの Exif 情報はどうでしょうか。Exif は何も特殊なソフトがなければ呼び出せないわけではなく、通常でもファイルのプロパティから確認することができます。しかしそのためには、アイコンを右クリック>プロパティを選択>「概要」を選択、というステップを踏まなければなりません。それを簡単に閲覧できるようにしているのが、Exif Reader や Exif Quick Viewer のようなソフトというわけです。
極端な言い方をすれば、これらのソフトは奥にしまってあるデータを前にもってきただけ過ぎません。音声や位置情報など、新たなデータを付与しているわけではないのです。だからといって無意味だということは全くなく、ユーザーに確かな価値を提供しています。ユーザーが必要だと思う情報を、すぐに手の届く形で用意することがいかに重要か、ということでしょう。
自分たちが提供しているモノ/サービスにおいても、「こんなのお客様は知りたがらないだろう」と勝手に判断し、削除してしまっているものがないでしょうか。もしかしたら、既に手元にあるデータを使いやすい形で渡してあげることによって、モノ/サービスの価値がぐっと上がるかもしれません。また Exif 情報閲覧ソフトのように、既にそこにありながら正しい形で提供されていないデータを加工するだけで、新しい価値を提供することができるという例が他にもあるかもしれませんね。