「働き方改革」で改革される会社の在り方
「おじいちゃんが若い頃はね。みんな会社っていうところで働いていたんだよ」
「へー、そうなんだ。おじいちゃん。会社ってどんなところだったの?」
近い将来、
このような世界が来るかもしれません。
「働き方改革」は、目の前の課題解決や言葉が先行しているところもあり、これからどのように変化するのか、またどのようなカタチがベストなのか、まだまだ分からないところが多分にあります。しかし、どのような方向性に至ったとしても、少なからず会社や人事の在り方は変わっていくのではないかと私は考えています。
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以前のコラムでも書きましたが、例えば勤怠の在り方。今は労働を計る単位は時間であるため、勤務は時間で管理されています。しかし、働き方の変化に伴って、働く場所や時間帯、労働時間の刻み方が変われば、労働そのものの計り方も変わり、管理や把握の仕方も変わるでしょう。またあるいは評価の在り方。今は会社という物理的なコミュニティが存在し、頻度は色々あるでしょうが、社員は会社に集まります。しかし、この会社という場所そのものが、今と同じ機能を担って、今後も存在し続けるかどうかは分かりません。会社そのものの定義が"単なる物理的な場所"、"とある共通の目的をもったコミュニティ"、場合によっては"労働や雇用に関する代理手続機関"等に変化するのかもしれないと私は感じています。
先日、コワーキングスペースを自社オフィスに設置して無料開放している、とあるIT企業に訪問しました。コワーキングスペースとは、各自独立した仕事を行う人々が、共働できる/共働で作業できる、事務所スペース、会議室、打合せスペースなどのことを言います。そのIT企業の方に、コワーキングスペースを設置している目的を聞いて見たところ、コワーキングスペースを設置することで、通常外部との接触の少ないエンジニアにも、外部の人との接触の機会を設けるために、コワーキングスペースを設けている。との話を聞きました。このコワーキングスペースがもたらす効果や変化は、"外部とのミーティングの効率化"、"コミュニティを作ることによる企業認知度の向上(ブランディング)"、"リクルーティングへの呼び水"など、他にも色々あると思います。しかし一方で、コワーキングスペースに来て仕事をする人、またこのコワーキングスペースに来る人と接触する自社のエンジニアにとっては、これまで外部の人と接することが少ない職種であったものの、このスペースが出来たことで、外部の方とも交流しやすくなり、職場の意味合いが少し変わったのではないかと私は感じました。つまり、このスペースの存在が職場の意味合いを変え、働き方改革のひとつ、また一助になっているのではないかと私は感じたわけです。
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「働き方改革」は、時短やリモートワークなど、会社から"人を遠ざける施策"が多いように感じます。厚生労働省が示す、一人ひとりのニーズに合った「働き方改革」は、必ずしも会社から社員を遠ざけるものだとも限らず、会社そのものの在り方を見直し、会社そのものの定義を見つめ直すことから始まるのではないかとも考えています。
代表取締役社長 兼 CEO 大野 順也