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組織を活性化させていく上で外せないポイントを、企業や組織が抱える問題や課題と照らし合わせて分かりやすく解説します。日々現場でコンサルティングワークに奔走するコンサルタントが、それぞれの得意領域に沿って交代でご紹介します。

採用競争力強化、雇用維持力強化のための人材育成とは

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雇用の流動性向上、景気回復に伴い、転職市場は活況を見せているそうです。市場環境をうまく活用し、優秀な人材の確保に成功している企業もありますが、それは同時に裏側では優秀人材の流出に悩む企業を生み、優秀な人材の確保に悩む企業も生んでいると考えられます。

経営資源の1つである人的資源を、特に優秀な人的資源を確保することは経営課題の1つであり、人事機能にとってはメインミッションの1つであると言えます。では、どのようにすればミッションコンプリート出来るのでしょうか?

もちろん、多くのアプローチがありますが、今回は人材育成にフォーカスを当てて考えていきたいと思います。

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近年の企業内人材育成においては、これまで重要視されてきたスキル、知識、ノウハウ、ナレッジ中心の人材育成から、業界ごと、職種ごとにおいて普遍的に求められるスキル、知識の育成との並列にあると考えます。いわゆる「ヒューマンスキル/ビジネススキル」と呼ばれる領域であり、必ずしも日常業務との直結性、連動性は高くありません。では、なぜそれらへの重要性が高まっているのでしょうか?

それは、雇用の流動性が高まり、終身雇用などに代表される長期雇用は前提条件ではなくなりつつあり、長期雇用を前提とした働き方は労働者にとってリスクになる可能性もあるためです。時間は有限であるため、特定企業内においてスキル、知識、ノウハウ、ナレッジの習得に割く時間を大きく取った場合、業界ごと、職種ごとにおいて普遍的に求められるスキル、知識の習得に割く時間の確保が難しく、普遍的なスキル、知識の習得は難しくなります。

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長期雇用を前提とした働き方においては、特定企業内において重要視されるスキルが普遍的なスキルと比較し相対的に重要ではありますが、長期雇用を前提としない働き方においては、普遍的なスキルの重要性が相対的に高まります。言い換えると、以前は転職市場が未成熟であり、企業・労働者双方が長期雇用を前提としていたため、特定企業内において重要視されるスキルの習得は双方にとってメリットがありましたが、現在はその前提が崩れつつあるため、企業、労働者にとってデメリットとなる可能性も高まりつつあります。

長期雇用が良い/悪い、どちらのスキルのレベルが高いという話ではなく、環境が変化するに伴って、企業も対応可能な人材マネジメントを行わなければ、労働者のニーズに企業が十分に対応することが出来ず、採用競争力の低下、雇用維持力の低下(人材流出)によって、経営戦略実現が難しくなる、究極的には企業の存続が難しくなるケースも発生するかと思います。

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では、企業は何に取り組めばいいのでしょうか?革新的な取り組み、抜本的な改革は必ずしも必要ではありません。例えば、自社では何かしらの妥当性のある理由により重要視していないが、業界として、職種として一般的には重要視されているスキル、知識の育成も行う、などは比較的取り組みやすいかと思います。企業規模により個社研修の負担が大きくとも、公開型研修の活用など工夫の余地はあると思います。

組織開発コンサルティング事業部
鄧 辰

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