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組織を活性化させていく上で外せないポイントを、企業や組織が抱える問題や課題と照らし合わせて分かりやすく解説します。日々現場でコンサルティングワークに奔走するコンサルタントが、それぞれの得意領域に沿って交代でご紹介します。

これからの人事に求められること

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■人事部の役割と責任とは何か?
近年、人事の役割は事業環境に対応する形で、大きく変化することが求められています。
変化が求められている人事の役割について、「戦略人事」をテーマに再整理していきたいと思います。

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「人事部の役割と責任とは何か?」
この質問に即答できるビジネスパーソンはどの程度いるのでしょうか。
多くのビジネスパーソンから次のような回答が多く見受けられます。
給与計算、労務管理、採用、人材育成、人事制度の運用、福利厚生・・・

上記の回答はすべて正しく、どれも間違っていません。しかし、皆さんは、これらの回答に、共通の特徴があることにお気づきでしょうか。
そう、回答がオペレーション業務に傾倒しているものばかりなのです。この結果はビジネスパーソンの多くが"人事業務は管理業務"だと認識していることの裏返しでもあるともいえるでしょう。

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■人事の責任とは何か
それでは、改めて人事の位置付けについて振り返ってみましょう。上記で見てきたように人事は組織づくり、人づくりに関わっている部署です。言い換えれば、実質的に経営と極めて近い役割を担っている部署といえるのです。
多くの企業では、業績低迷の責任を営業部門や開発部門に求めがちですが、人事(組織的、人的リソースのマネジメント)が機能不全になっていることも原因の一つとして想定されることは見落とされがちなのです。

そこで、近年、人事には、より政策提言、戦略策定の役割が求められています。

一般的な日本企業の多くでは、人事の仕事として、オペレーション機能への対応が中心となっています。一方で、急速に変化するビジネス環境への対応には、柔軟でスピード感のあるマネジメントが求められており、人事も企画機能の追加及び転換、オペレーション機能の高度化を図る必要があります。

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■人事として理解するべきこと
企業経営の原則として、経営と現場業務の整合性があることが求められます。この整合性を保つのはラインマネジメントであるとの考えが根強いことは間違いありませんが、上記で見てきたように人事は経営に極めて近い部署です。したがって、人事は経営と現場を結ぶ役割を担っていることを強く意識しなくてはなりません。
経営と現場の解釈の違いを把握し、ギャップを埋めるためには、以下の点に関して、誰よりも深い理解をすることが必要です。
1.自社の経営戦略
2.自社の現場業務

「仕事は上位から指示があるから」、「本社にいるので、現場がわからない」などは、もはや通用しないのです。どこの部署にどのような知識・スキル・経験を持った人材がいて、どのような配置が望ましいのかを上司や現場のマネジメントへ提案していくことが必要なのです。そのためには、誰よりも何よりも自社の経営戦略、現場業務を人事が深く理解しなくてはならないのです。

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■これからの人事に求められる機能
GEのジョン・リンチ氏は、これからの人事に求められる機能として以下の5つを挙げています。


人事はビジネス目標をパートナーとして達成する部門であり、変革を率先して牽引する存在である必要があります。そのためには、人事部員が、組織の状態を見抜き、リーダーや社員に対してコーチングができなくてはなりませんし、優秀な人材の採用、社員の悩みの解決、そして代弁ができなくてはなりません。もちろん、給与や労務など、人事の専門家としての役割は大前提となります。

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「企業は人なり」とよく言われますが、企業の成長に、人事が要であることは間違いありません。人事の存在自体を大きく変革をしていかなくてはならない時代を迎えているのだと思います。

組織開発コンサルティング事業部
岡 智諒

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