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組織を活性化させていく上で外せないポイントを、企業や組織が抱える問題や課題と照らし合わせて分かりやすく解説します。日々現場でコンサルティングワークに奔走するコンサルタントが、それぞれの得意領域に沿って交代でご紹介します。

例年通りは安パイ?

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4月に入社した新入社員の導入時研修が一段落し、GWを境に新入社員を現場に配属した企業も多いかと思います。

毎年、年末から年始にかけて、新入社員研修に関するご相談を受けることが多くあります。どのような内容を検討されているのか質問をすると、『例年通りの内容を実施する予定だよ』、『かれこれ5年くらいは同じ内容を続けているよ』などの回答を得ることが少なくありません。続けて、なぜ例年通りなのかを質問すると、『うちはコンサバ(保守的)だからね、なかなか変えられないんだよ。まあ、変えなければ安全だしね』、『うちは安定志向だからね、石橋を叩いて渡れる橋だとわかったら、基本的には渡り続けるんだよ。それに、下手に変えて失敗したら大変だろ?』といった声を多く聞きます。

この方々の話を要約すると『現状維持=安定』という等式が成り立ちますが、果たしてこれは正しいのでしょうか。

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結論として、ケースバイケースです。

競合企業など自社の比較対象が退化している状況であれば、現状維持を出来た結果、競合より優れていれば距離は広がり、競合より劣っていれば距離は縮まるため、適切な戦略かと思います。一方、比較対象が進化している状況であれば、現状維持をした結果、競合より優れていれば距離は縮められ、競合より劣っていれば距離が広がるため、不適切な戦略かと思います。

つまり、自社のありたい姿に対して現状維持すべきか、もしくは変化をすべきか見極めたうえで道を選ばなければ、目的を達成することは難しくなると言えます。

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育成対象である新入社員、お手本となる若手の先輩社員においても同じような発想、指向性を持った言動が多く見られます。新入社員なりに頑張り、良かれと思って行動していることは分かるものの、『先輩は新人時代にどのような勉強をされたのですか?おすすめの本を教えてください。読んで勉強して先輩みたいに早く一人前になりたいんです。』と目をキラキラ輝かせて先輩に話しかける新入社員をよく見かけます。そして、先輩社員も悪い気はしないので、良かれと思っておすすめの本を勧め、新入社員の勉強をサポートします。一見、美しい光景に見えますが、果たして適切なのでしょうか。

やはり、結論はケースバイケースです。

先輩が新入社員であった時代に課題図書として適切であった書籍が、現在の新入社員に対しても適切な書籍であれば適切なアドバイスになり、残念ながら経年変化に伴い陳腐化している書籍であれば、不適切なアドバイスになるかと思います。

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つまり、現状維持は必ずしも安全とは言えず、現状維持をすることが適切であるか否かの検証、判断が必要となります。しかしながら、年末年始のドタバタ、世間一般の年度替わりによる繁忙などにより、効果検証が十分になされないまま現状維持を行っている企業は少なくないと思われます。

では、どのようにすれば、効果検証を十分に行い、意味のある現状維持、もしくは改善を図ることが出来るのでしょうか。

それは、業務ごとに効果検証を行うことを仕組み化することに1つの解決策を見出すことが出来るかと思います。具体的には、例えば、新入社員の育成計画を担当役員など決裁者に対して説明し、決裁を得る際に、合わせて効果検証を行う時期や効果検証の報告、及び次年度に向けた提言を行う時期を合わせ、決裁を得るという手法があります。

これを行った場合、導入時研修をすることに加え、効果検証し報告及び提言を行うことまでの承認を得ることができ、勝手に効果検証を実施しない、報告及び提言を実施しないということは行いにくくなります。つまり、外圧により、自身が取り組まざるを得ない環境を設定(仕組み化)することで、適切なプロセスを踏むことがより容易になるかと思います。

もちろん、取り組み始めた直後は慣れない手法であるため、進め方に迷うことや、プレッシャーを強く感じることもあるかと思いますが、人間は「慣れる動物」です。つまり、継続的に取り組むことで、当たり前になり、習慣化することで、自然と出来るようになってしまいます。最初は大変かと思いますが、ご自身の業務を棚卸しし、取り組まれてみてはいかがでしょうか。

組織開発コンサルティング事業部
シニアコンサルタント 種生 大輔

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