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組織を活性化させていく上で外せないポイントを、企業や組織が抱える問題や課題と照らし合わせて分かりやすく解説します。日々現場でコンサルティングワークに奔走するコンサルタントが、それぞれの得意領域に沿って交代でご紹介します。

上手くプロセス評価を行うためのコツ

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人事評価の方法のひとつに、「プロセス評価」という方法があります。「業績評価」が業務の成果や結果を評価するのに対して、「プロセス評価」では、業務の成果や結果に至るまでの過程(=プロセス)を評価します。つまり、"成果や結果に至るまでの行動や活動"を評価する行うわけです。

「情意評価」や「能力評価」、「コンピテンー評価」なども、広義ではこのプロセス評価に含まれます。「情意評価」とは、"職務に対する姿勢や意欲"を評価し、「能力評価」とは、"職務遂行上必要な能力の有無や発揮度"を評価し、「コンピテンシー評価」では、"職務を遂行していく上での立ち振る舞い(行動特性)"を評価します。

プロセス評価を適切に運用するためには、「具体的に」、「定量的に」、「誰が見ても分かる」など、プロセス評価のもととなる行動や活動の目標を、成果や結果(また目的など)に直結させて具体的に設定する必要があります。言うは簡単ですが、なかなか上手く運用できないプロセス評価を、一般的な例を用いて考察します。

プロセス評価が適切に機能しない目標設定

目標例/「クライアント企業を毎日●●件訪問する」

稚拙に見える目標設定例ですが、実際の評価の現場では、かなりの頻度で発生している間違えた目標設定の例です。この設定されている目標は、ある意味では定量的であり、誰が見ても分かる(評価できる)目標であり、振り返った時に、出来た/出来ていないことを判定することが可能な目標です。しかし、このプロセス(行動や活動)を通して、どういった成果や結果(また目的など)を達成しようとしているのかが明確でないため、期末に評価を行う際に、評価しあぐねるといった状況が発生したりします。これは、確かにプロセス目標は達成しているが、成果や結果(また目的など)の達成が伴っていない場合に発生する状況と言えるでしょう。

プロセス評価ですが、適切に機能させるためには、目標設定する際のポイントが2つあります。ひとつは"具体的であること"、もうひとつは"成果や結果(また目的など)に対して直結していること"です。

ひとつめの具体的であることとは、5W2Hで目標設定(また見直し)をすることで実現します。5W2Hは、なじみのある方も多いと思いますが、①When(いつ)②Where(どこで)③Who(だれが)④What(なにを)⑤Why(なぜ)、①How(どのように/どの程度)②How much(いくらで)の略称です。プロセス評価で設定する目標は振れ幅が広い(設定の自由度が高い)ため、設定した目標そのものが曖昧になりがちです。そのため設定する目標を5W2Hで設定して具体性を高める必要があると言えるでしょう。

ふたつめの成果や結果(また目的など)に対して直結していることとは、成果や結果(また目的など)を定義して、その成果や結果(また目的など)に沿ったプロセス目標を設定(また見直し)することで実現します。つまり、成果や結果(また目的など)を定義して、行動や活動に"妥当性があるか"、"実現性があるか"の観点を含めてプロセス目標を設定し、成果や結果(また目的など)に対して妥当性、実現性を高める必要があるということです。5W2Hに沿って具体的且つ定量的に目標を設定しても、成果や結果(また目的など)の実現に向けて、妥当性が無い目標(直結していない目標)であれば、意味のない目標なってしまいます。また営業職のように比較的短期スパンで成果や結果が出る職務であれば、成果や結果(また目的など)を定義することは比較的容易ですが、研究職や商品開発など、比較的長期スパンの職務であれば、成果や結果(また目的など)に、マイルストーン(段階的な成果や結果など)を設けて、そのマイルストーンに沿ってプロセス目標を設定する必要があるでしょう。何れにおいても、成果や結果(また目的)に沿っているかどうかが重要です。

プロセス評価を行うということは、部下の日々の行動や活動そのものを評価する(是正や改善を行う)ということであり、人材育成の側面からも非常に大きな意味を持ちます。もうずいぶん昔になりますが、過去に行き過ぎた成果主義が横行した背景もあり、現在では多くの企業でプロセス評価が導入され、また重視される傾向にもあります。プロセス評価の目標を設定する際には、評価のための目標を設定することなく、日々の行動や活動を振り返りつつ、成果や結果(また目的など)に沿って、事業の成長や個人の成長を加味した目標を設定する必要があります。

代表取締役社長 兼 CEO 大野 順也

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