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組織を活性化させていく上で外せないポイントを、企業や組織が抱える問題や課題と照らし合わせて分かりやすく解説します。日々現場でコンサルティングワークに奔走するコンサルタントが、それぞれの得意領域に沿って交代でご紹介します。

"変化の時代"に求められる力

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弊社グループ会社で就業支援事業を行う株式会社HRPでは、例年、就職活動中の男女学生に対して就業志向調査を実施しております。

上記の調査データを分析した結果から、2016卒学生の傾向を一言で現したキーワードとして出てきたのは、多くのメディアで言われていた事と同様に『安定志向』というキーワードでした。 しかし、国内大手企業が倒産の危機に直面し、海外企業によって買収されるケースも発生している昨今、「この会社に入社すれば一生安泰」と言い切れるような一生涯の安定が保証される会社は果たして存在するのでしょうか。

ここから3~5年後の近い将来であれば、「この会社は絶対に潰れない」と予測できる部分があるかもしれませんが、特に東京オリンピック以降、2020年以降も絶対に潰れる事無く、10年、20年、30年と成長を続けていくであろう会社を見極める事は非常に困難です。

では、そのような時代において、真の安定を手に入れるためには、何が必要なのでしょうか。

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私は以前、"真の安定を得るために必要なのは「不安定な状況に強い力を身に付けること」だ"と、教わった事があります。 この考え方は、当時の自分にとって非常にしっくりと来るもので、今でも、苦境に立たされたり、「安定」を志向する学生と採用面接で対峙した時、この話を思い出し、時に引用をさせていただく事があります。

一方で、昨今、大手企業の人材育成ご担当者様とお話しをしている中で「レジリエンス」や「グリッド」といったキーワードを良く耳にするようになりました。 「未踏の海外拠点に赴任して苦難が続いても、その中で折れない心を発揮できる人材を見極めたい」とか「難解なテーマにも果敢に挑戦し、絶対に最後までやり切る人材を育てたい」といったご要望です。

弊社でも、自社新入社員に対する育成指針を検討するミーティングの中で「逃げない姿勢」「やり切る心」といったキーワードを度々挙げています。 例え、どんなに不安定な環境に身を置こうと「自分なら何とかできる」という感覚や、先の見えない暗闇に放り込まれても「とにかく進んでみよう、進めば何かが見えてくるはず」と思える感覚は、今日の変化の時代において、益々その必要性を増してきているのではないでしょうか。

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ある書籍では、日本を代表する経営者が新規事業を成功させる一つのキーとして「くじ箱戦略」なるものを実践していると語っていたのを目にした事があります。 この「くじ箱戦略」とは「当たりが出るまで、箱からくじを引き続ける」というとてもシンプルな考え方で、もう少し詳細に触れると「①当たりが多そうなくじ箱を選ぶ」「②くじを引くコストを下げる」「③くじを引き続ける」という3ステップで新規事業への投資を進める考え方だそうです。 最初の9回がはずれでも、10回目に当たりが出るかもしれない。だから、1回あたりのくじ引きのコストを可能な限り低減する努力をした上で、あとはとにかく「くじを引き続ける」という行為を繰り返していくそうです。

こちらの日本を代表する経営者、一見すると立ち上げる事業はことごとく軌道に乗り、時に「強運の持ち主」という表現をされる事もありますが・・・実は影でたくさんのハズレくじを引いてきた事も明かしています。 ハズレくじが続いても「大当たりなんか引けない」と諦める事は一切なく、「自分は必ず大当たりを引く」と信じて、くじを引き続けた事で、初めていくつかの大当たりを引くことに成功した、と語っています。

この考え方は、シンプルながらも、その実行が非常に難しい領域である事が容易に想像できます。 いつ当たるかも分からない状況の中で、周囲から飛んでくる批判に耐えながらくじを引き続け、引いたくじに「大当たり」のマークがついている時ですら、周囲の人間には大当たりのマークが目に見えず「また、ハズレですね」と言われてしまう事もあるのですから。 そのような状況下で、「自分は必ず大当たりを引く」「自分には大当たりのマークが見える」と信じて「くじを引き続ける」という行為を実行し続けるには、その裏側で「自分なら何とかできる」といった感覚を持っている事が欠かせないはずです。

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どのような環境に身を置こうとも「自分なら何とかできる」という感覚、これからの変化の時代に求められる力として、日々意識しながら自身の業務や後輩育成に取り組んでいく事への必要性をあらためて感じているところです。


ソリューション本部 コンサルティングソリューション事業部
シニアコンサルタント 古澤 祐二
AACメンバー

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