オルタナティブ・ブログ > マーケティングテクノロジストへ贈るブログ >

― IT部門とマーケティング部門のハザマで ―

【シーズン1 第6話】データディスカバリ(セルフサービスBI)は自利利他のグローバル例外管理へ!

»

 企業の中でExcelを使いこなすのが脅威的にうまい人たちがいます。おそらく今まであらゆる報告書をExcelを駆使してきたからこそ身についたスキルなのでしょうが、そんなExcelプロフェッショナルでも、整理しきれない膨大なデータの山を前にして苦戦している姿を「Excel地獄に陥っている」と揶揄することがあります。

 そんなExcel地獄を解消するセルフサービスBI(データディスカバリ)のひとつにTableau(タブロー)という製品があります。

 すべての表計算ソフトのデータをビジュアル化したい
「数年後には、いまExcelなどの表計算ソフトを使っているように多くのユーザーがTableau Softwareを使うようになって、データをビジュアル化すると信じています。Tableau本社は『すべてのExcelユーザーがリプレイス対象』と言いました。」

 また、クラウド型セルフサービスBIのDomoも「脱Excel帳票」がキャッチコピーで、Excel地獄解消ツールとして宣伝されています。

 Excelのような個人の仕事をビジュアル化するような自利(自分の利益)のためのツールとしてTableauなどは普及してきましたが、その市場へマイクロソフトが自社のセルフサービスBIを無料で投入してしました。

 「BIソフト無料」を打ち出したマイクロソフトの意図
 「利用者にとってビッグデータの収集や分析を行う手元のツールとなるBIソフトを無料にしたことだ。同社はこれまでBIソフトとしてExcelのアドオンで実装した『Power BI for Office 365』を提供してきたが、今回の無料版Power BI Designerはほぼ同等の機能や操作性を維持しながらWindows上で利用できるようにした形だ。」

 自利としてExcel地獄解消をマイクロソフト自らが行うだけでなく、クラウドサービスのMicrosoft Azureを組み合わせ、手元のBIソフトからMicrosoft Azure上に構築されたデータ処理基盤によって、データの蓄積(データレイク)から加工(キュレーション)、保管(データウェアハウス)、成型(データマート)などのプロセスを経ることで、利用者の欲しいデータが欲しい形で提供され、ビックデータが民主化できる訳です。

 これにより、フロントエンドのデータディスカバリツール(セルフサービスBI)は、Microsoft Azure、Amazon RedShift、Google BigQueryなどと連携する形で、企業内の様々な部署や個人に使われるようになり、自利のツールから利他(他人の利を願う)のツールに変容せざるを得なくなったのです。

 データサイエンティストのミッションを、ビックデータを統計解析ツールなどでプロとして解析し、隠れた法則や独自の視点を導き出すことだとすると、マーケティングテクノロジストのミッションは、過去、現在、未来のデータ(Microsoft Azure、Amazon RedShift、Google BigQueryなど)から、意思決定者がフロントエンドのデータディスカバリツールを活用する仕組みを用意することとなり、利他の姿勢が今まで以上に必要となってきました。

 さらに、自利を国内、利他をグローバルと考えると、自利利他の観点からグローバルに例外管理(Management by exception)をビルトインしたP&Gの3つのノウハウ(運用管理における例外管理の欠如)が、行き着く先のひとつの事例でしょう。

 マーケティングテクノロジストにとり、Evidence Based Marketing(ファクトデータに基づくマーケティング)の基盤となるディスカバリツール(セルフサービスBI)は、自利⇒利他⇒自利利他と利用シーンが変化することを前提に、全体最適をイマジネーションすることが必要なツールなのです。

● 雑談のネタ【Coffee Break】
https://blogsmt.itmedia.co.jp/CMT/coffee-break/

 本記事の著者へのお問い合わせはこちらまで。

Comment(0)