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ビジネスとテクノロジーの間には深い溝がある?

SAP Predictive Analytics 2.2

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SAP SELECT 2日目の発表内容の続きです。2015年7月2日、SAPジャパンはアナリティクス製品ポートフォリオの拡充を発表しました。今回の目玉は標題にある予測分析の機能が大幅に拡充された点にあります。昨年あたりから「リアルタイム」「プレディクティブ」といった言葉がSAPのアナリティクスソリューションのキーワードでしたが、高速かつ正確なリアルタイムの解析から、さらに成熟度の高い予測的な洞察を得るための機能が強化されました。

長らくBI(Business Intelligence)が支援してきた分析対象は過去に起きたデータでしたが、ビジネス側としては計画と実績を今すぐに分析したいため、あまり意味のあるものではありませんでした。また、ビッグデータやIoT(Internet of Things)でやり取りされるデータは、これまでの企業情報システムが中心的に管理してきた構造化データとは異なり、高次元かつ広範という性質があります。構造化データと非構造化データをリアルタイムに分析するためには、様々なデータセットをサポートし、高速に処理する強力なデータプラットフォームが不可欠です。そのため、SAPはHANAを提供し、「今何が起きているか」を分析する環境を提供することに注力してきました。

これに対して、プレディクティブアナリティクス(予測分析)は「将来何が起こりそうか」に焦点を当てたアナリティクスであり、次のようなユースケースが考えられるとSAPは説明します。

  • 消費財メーカー:ある製品に対してどのぐらいの需要が発生しそうかを予測し、それに応じて保有在庫量をコントロールする。
  • 精密機器メーカー:稼働中の機械の故障が発生する予兆を検知し、適切なタイミングでメンテナンスサービスを提供する。
  • 金融サービスプロバイダー:新しい金融商品の案内を、すぐに捨てられるようなターゲットではなく、できるだけ購入見込みの高いターゲットに送る。

リアルタイムアナリティクスが意思決定者に気付きを与え、対応を促すのに対し、プレディクティブアナリティクスは予測と行動に向かわせます。また、プレディクティブアナリティクスのデータには「固定されていない(Unlocked Data)」という特徴があります。予測はビジネスの成功を左右する組織スキルです。企業がビジネス収益性を高めるというゴールを達成できるよう、SAP Predictive Analytics 2.2では、予測モデリングの効率と精度の両方を改善しました。

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