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IT技術者教育に携わって25年が経ちました。その間、変わったことも、変わらなかったこともあります。ここでは、IT業界の現状や昔話やこれから起きそうなこと、エンジニアの仕事や生活について、なるべく「私」の視点で紹介していきます。

【作品紹介】不覚にも感動してしまった

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「不覚にも感動してしまった」という作品がある。作りは安っぽいし、演技も大したことないのに、つい感動してしまうというものだ。

私の選んだ三大うっかり感動作品は、予算の多い順に以下の3つである。

  • ヌイグルマーZ(映画)
  • 帰ってきたウルトラマン(庵野秀明監督自主制作映画)
  • 正義の味方の味方 ゲルピン(自主制作ボイスドラマ)

ヌイグルマーZ

ヌイグルマーZ』は、大槻ケンヂ原作、中川翔子(しょこたん)主演の劇場公開映画である。劇場公開映画だから、予算が少ないと言ってもそれなりの規模ではあるだろう。

中川翔子演じる正義の味方と、猫ひろし演じる悪役が、案外似たような境遇で、ちょっと間違えれば立場が入れ替わっていたかもしれないと思いながら見ると良いかと思う。

ストーリーもめちゃくちゃだし、最後はゾンビが阿波踊りだし、演技は下手だし、とにかく「B級映画」と呼ぶにふさわしい作品なのに、うっかり感動してしまった。

おすすめする(この文章で見たくなるとは思えないが)。

帰ってきたウルトラマン「マットアロー1号発進命令」

帰ってきたウルトラマン』と言っても、円谷プロの特撮作品ではなく、アニメ『エヴァンゲリオン』で知られる庵野秀明氏が学生時代に撮った8mmフィルム作品。

何しろ、ウルトラマンがジャージを着た素顔の庵野秀明である。これでドラマに入り込めるはずがない。と思うのだが、見ているとなんとなく引き込まれてしまう。

ストーリーは『帰ってきたウルトラマン』よりも『ウルトラセブン』のテイストが強いし、セットもウルトラセブンっぽい。もともとウルトラセブンには、深刻なストーリーが多い。本作も上官の命令(つまり地球防衛)と人命の間で悩む姿が描かれている。だが、何しろ戦闘シーンがジャージの大学生である。どこに感動できるというのか。そして、うっかり感動してしまって後悔するのである。

入手困難な作品ではあるが、機会があればぜひ見て欲しい。

正義の味方の味方 ゲルピン

『正義の味方ゲルピン』は、地下アイドル「いとうあいか」のYouTubeラジオ番組のスピンオフ企画ボイスドラマである。

もとはYouTube番組で「ゲルピンって何か知ってますか?」と聞かれて、「ゲル状の生物でピンが刺さっている生物」と答えたところから悪乗りして生まれたキャラクターである。

本来は、昔の学生が使った用語で「お金(ゲルト)がピンチ」という意味である。戦前から戦後の学生用語にはドイツ語由来のものが多い。ゲルト(Gelt)もそうだし、ゲバルト(Gewalt)=暴力もそうである(ゲバルトは「ゲバ棒」という言葉に残っているが、これも死語か)。

「ゲル状生物+ピン」のイメージが面白かったのか、悪乗りして(趣味で)ボイスドラマを収録し販売された。

楽屋落ち満載の、いかにも内輪受けを狙って作られたもので、孤独から挫折そして復活の流れが最近のヒーローものにありがちなパターンである。ストーリー展開が見えているのだが、それでもうっかり感動してしまう。こんなドラマに感動してしまった自分が情けないくらいである。

こちらは2021年3月21日(日)まで限定公開されているので、ぜひ見て欲しい。私は予備知識がなかったせいで「うっかり」感動してしまったが、ここまでの知識があればきっと感動しないと思う。でも、もしかしたら何か心に残るものがあるかもしれない。

おすすめする。

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