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Wikileaksのサーバ押収するという先例は作られなかった

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Amazon.comのホスティングサーバから追い出されたWikileaksですが、寄付口座も凍結されてしまったそうです。

『Wikileaks、続く逆風 ドメイン停止に寄付口座も凍結 - ITmedia News』 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1012/06/news026.html

凍結された寄付口座はPayPalの口座であるとのことで、事実の把握には少し注意が必要です。というのもPayPalというのは確かにアメリカの会社ではあるわけですが、その実態は(というか運営上の都合上は?)シンガポールのストアドバリュー設備であるということになっています。

もしアメリカの銀行であればおそらくはいろいろな情報がアメリカ金融当局に通報されたのではないかと思いますが、なんとなくそこまでは言っていないのではないかと思います。

その一方でインターポールのサイトを検索すると見事ジュリアン・アサンジさんが指名手配されています。

ASSANGE, JULIAN PAUL http://www.interpol.int/public/Data/Wanted/Notices/Data/2010/86/2010_52486.asp

PayPalに直接でなくてバックボーン決済をやっているところに「で、指名手配犯が代表の会社だけど黄身のところはどうすんの?」と迫っていくのかどうなのか、大変興味深いところです。

また、逃げまわるWikileaksのサイトからアメリカ側がチマチマとファイルをダウンロードして「これは本物、これは偽物」とやっているかどうかというのも非常に気になります。というのもAmazon.comのサーバがアメリカ国内にあるのであればサーバを差し押さえて調べることもできるように思うからです。

もし差し押さえでもしようものならば、もう日本やら欧州やらでアメリカの後塵を拝んでいるライバル各社が鬼の首をとったようにアメリカ国内にサーバを置くことの危険性について喧伝する良いチャンスになったことでしょう。

なんていいつつも欧州では個人情報の「忘れられる権利」が導入されそうな方向であり、もしWikileaksに個人情報が含まれていようものならば「即刻削除してください」という個人が現れてきそうな気配でもあります。

欧州委員会、「忘れられる権利」のプライバシー規定案を公式説明 - ニュース:ITpro http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20101201/354730/?ST=security

そんな状況と似ているのが日本の警視庁公安部外事3課の情報漏洩ですが、漏洩した情報を出版しようとした出版社の書籍が販売差し止めされるという状況になっています。この情報はP2Pで漏洩・拡散したものですが、(一次漏洩経路は不明ですが)当のWikilieaksはこれからP2P路線に進むという報道もあります。

漏洩といえば尖閣諸島のあれやこれやの動画がYoutubeにアップロードされた件ですが、日本Googleの対応もおもしろいものでした。報道によれば「検察からの任意での資料提出要請を拒否」したのちに裁判所の令状により「強制押収」という流れとなりました。自分の中ではgoogleはただの検索サービス提供事業者であって、プロバイダとは違う位置づけと思っています。ですので検索トラフィックであったり動画のアップロードログ等はそこまで意固地にならずとも開示されうるだろうと思っていました。ところがgoogleは任意での捜査協力はしませんでした。もっとも、簡単に検索トラフィックまでが開示されるとわかったらいわゆる「核ミサイル 作り方」で検索しているIPアドレスの一覧の協力要請、なんていう都市伝説が現実化しかねませんので仕方が無いかなとも思います。当然gmailやDocs等も同じ扱いということになり、あらゆるものが任意で提出されてしまうかもしれません。

さて今回googleが世界中に配信したのは尖閣諸島の真実だったわけですが、これが上であげたような「核ミサイル 作り方」的なものだったらどうでしょうか。そのあたりはまだエンジニアリング上の機微がありますので実現が非常に難しいと思われます。それでは高度な暗号解読の理論であったり、毒ガスの効率的な合成経路であったり、はたまた何らかの情報システムの非常に致命的な欠陥だったとしたら。

これらはCDSにより一瞬で世界中に広まってしまうものです。今はまだ誰もやっていないに過ぎません。たまたま誰もやっていないのは、おそらく日本やアメリカ等のそれぞれに外為法等の刑事罰を伴うきつい罰があることと、そういった機微な情報を知る立場におられる方というのはそれなりの科学倫理を持ち合わせる立派な方が多いからと思われます。

しかし一旦これらをアップロードした瞬間に世界がガラっと変わってしまうかもしれないという可能性に、尖閣ビデオなりWikilieaksなりの事件は気づかせてくれました。そしてそれらのサーバに対するアクセシビリティはYoutubeでいえば無料で誰でも、です。Wikileaksも同等と思われます強いて言えばWikileaksのほうが運営者がホスティング事業者に追い立てられて流浪の身になっているというところは障壁があります。いつサービスが動いているかわかりません。しかしそれは一方で、ホスティング事業者はWikileaksが開設されるまで見抜けないということでもあります。

日本の外為法では、機微な情報を海外(非居住者)に輸出することを禁じています。例えばWikileaksのような情報公開系のサイトに機微な情報が垂れ込まれ、たまたま日本のクラウドサービスに目をつけた運営者が日本のサーバを使ってとんでもない情報を世界中にばらまいたら。そう考えると日本のクラウドサービスの事業者も、利用時の本人確認等の対策方法について検討する必要があるのではないかと思います。

これら一連の事件を見ていると、ネットと現実のつながり方、世界と国とのつながり方、社会と個人とのつながり方との間に何らかの新しい解が与えられそうでもあり、いやいや、まだ我々はそのゴールを知るべき段階に至っていないのではないか?とも感じます。残すところ少ない2010年ですが、何かもう1件くらい事件が起きそうですね。

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