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受験生・就活生のお子さんに『宮崎県の口蹄疫の渦中を生き永らえた牛・豚』の夜食はどうですか?

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今年の重大ニュースに確実に入ってきそうなニュースに宮崎県での口蹄疫の発生があります。

先日図書館の新着コーナーで西都市の橋田和美市長が書いたこちらの本を借りてきました。

私は畜産の知識をまったく持っておらずあのニュースの重大さがいまいちピンと来ないまま、口蹄疫が終息していきました。しかしこちらの本を読んであらためて大変なことだったと思い知りました。

私はてっきりあのあたりの牛、豚などはすべて殺処分になったものだと思い込んでいましたが、ワクチン接種&殺処分になったのは感染の大きな地域だけだったとのことです。それでも宮崎県全体の25%の牛が殺処分になったとのことで、その影響の大きさはすさまじいものです。その渦中の西都市にも殺処分にならずに済んだ牛・豚がいたとのことで、今それが「西都牛」として発売されています。

青森県を台風が直撃して出荷前のリンゴが大量に落ちてしまったとき「落ちなかったリンゴ」という商品が受験生を中心にヒットしました。今回も「生き延びた牛(豚)」として縁起の良い贈り物に好適なのではないかと思います。また、宮崎を支援するという意味合いもありますので、私もお世話になっている方の身の回りに受験生・就活生がいましたらこれを贈ってあげようと思いブックマークしておくことにしました。

宮崎の美味しいもおん食べてみやざき支援
http://www.baniraaisu.com/miyazakishien/pg111.html

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口蹄疫だけでなく新型インフルエンザの日本発上陸の際もそうでしたが、「水際」というものがいまいちはっきりしない点に昨今の感染症対策の難しさがあるように思います。今後も人間や家畜等に同じような感染性の病気が発生した場合に、空港や海岸線などで防衛線を築ければいいのですがきっとそういう場合ばかりではないでしょう。そこから離れたところでポツンと最初の症例が発生し、しかもその自治体が空港や港などを運用しておらず防疫の体制が十分でないというようなことは十分に考えられます。

今回の口蹄疫では「牛」でした。(豚やヤギもいたそうですが)しかしそれでも家族同然に大切に扱っていらっしゃった畜産農家の方々からは金銭的な補償以上の心理的な反発が多くあったことがこちらの本から感じられます。もし今の医学水準でどうにもならないような非常に凶悪な病気が発生した場合に、それが例えば東京都だったとして隅田川と多摩川あたりに「防衛線」を築くことなどできるのでしょうか?「空白地帯」を作ることができるんでしょうか?どんなに凶悪な病気が発生したとして、隔離までは行われるとしても国から「死ね」と言われることはないように思います。しかし全国民のために、と切腹する人は現れるでしょうか。どうなんでしょう。

宮崎県では健康な牛を殺し「空白地帯」を作ろうという方針に対して農家の方が大変に苦悩されたとのことです。もし無理にでも牛を匿ったり、強硬手段でそれを回避しようとした人が多ければ、今頃は日本中から牛が全滅していたのかもしれません。本書でそれを知り、自らの牛の命を差し出すという決断をした方々がいたことを覚えていなくては、と思いました。

自分の身近なところに置き換えれば、何か凶悪なコンピュータウイルスが開発され、唐突に「あなたの会社に●●系OSのサーバがあったら24時間以内を期限にあらゆるネットワークから切断しなさい」と言われたらどうでしょう。それまでに長い調査・企画を経て、開発を経て、丁寧な集客とフォローを続けて盛り上がってきたWebビジネスがいきなりシャットダウンされてしまう、そういった場面を想像してみました。それでも機械の場合は丁寧な調査を行えば再起はできるでしょうし、もし不可逆な破壊が起きたとしてもアルゴリズムやビジネスモデルは残ります。しかし牛のような生き物は生き返りませんので、さぞや農家の方々は無念だったろうなと思います。

また、日ごろからUSBメモリの持込やウイルスのパターンファイルのアップデート、セキュリティパッチの適用や脆弱性情報のチェック、年に1回のペンテストなどをみっちりやっていても、トップダウンに下される命令はだいたいが一括適用です。普段きちんとやっていればいるほど「全体」への命令はむなしくやるせないことに思えるでしょう。また、「うちはこんなにやっているのだから」という特例を求める声となるかもしれません。スピードが要求される非常事態にそういった声があがると、たとえ正当なものだったとしてもやはり指揮を取る側の体力を奪います。難しい問題です。

宮崎県では口蹄疫発生の初期にきちんと消毒をしていた農家がトップダウンの命令で殺処分となった際にとてもつらい思いをしたとのことです。「あの努力はなんだったのか」という気持ちだったことでしょう。セキュリティを厳しく管理している会社で、その管理領域のすぐ外(関連グループ会社等)で個人情報の漏洩が発生してしまい、結果として規制が強化されるようなケースでは、セキュリティの主管部署や各実務部署のセキュリティ担当者の落胆が激しいというのと同じことであるように思います。

ITの世界に働いていても、他の世界から学ばせていただくことは非常に多いと感じます。口蹄疫は多くの人が傷つき苦しむ事件となりましたから、一人でも多くの人がそこから何かを学ぶことが必要ではないか、そのように思いこのエントリのまとめといたします。

Comment(2)

コメント

時が経過すると忘れ去られてしまう重要なニュースが多い事をあらためて思い起こすことしばし。しかし、宮崎の一件においては、署名をオルタナブロガーなど、何人もの方にお願いした自分の記憶が薄らいでしまった事を恥ずかしく思い、口蹄疫だけではありませんが、その教訓や残った何かを活かすことに大賛成ですし、何かしなければとコメントさせて頂きました。

つまらぬ反省でしかないかもしれませんが、言い訳せずに考え動く事が大切であると考えて行動する努力を継続し、足りない事もあきらめずに更に考え行動したいと思います。


また、ケースとして、IT業界と似て非なるところが多いという意見もあるかもしれませんが、対岸の火事という事も無いでしょうから、参考にもなり、また事前の策を少しでも講ずるきっかけとなればと思いました。


何ができるか、まだハッキリしませんが、がんばります!

方波見さん、コメントありがとうございます。
実際に行動すること、大切ですが難しいことですよね。インターネットで発生源近傍の生協を通じて宮崎牛の直接買い付けができるということは少し前では考えられないことと思います。また、報道上からは潮が引くように忘れ去られてしまうニュースも現地の方のブログ等を読むことでまた思い出すことができるようになりました。あとは自分たちの考え方なのかなぁと思います。

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