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ドラマや漫画がITの印象を悪くしている?

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報道によると、中高生の喫煙が激減しているとのことです。理由は「かっこ悪い」だとか。

(適切な一次ソースが見当たりませんでしたのでリンクはしておりません)

更に、暴走族に関して平成16年から警察白書を追って読んでみました。各回で「総合的な暴走族対策」というタイトルが共通しているので探すのも簡単です。

年度 暴走族の構成員数 減少数
平成16年 18,800 2,400
平成17年 15,000 3,800
平成18年 13,600 1,400
平成19年 12,600 1,000
平成20年 11,500 1,100

 

なんと毎年1000人単位で暴走族の構成員は減少しているのでした。ガソリン価格の全国平均は平成21年3月の112円から平成22年3月までに緩やかに上昇し130円ほどになっています。これが逆境になり、暴走族はごく近い将来に全国で1万人を割ってしまうでしょう。

おそらく両者ともに数が減って目にしなくなることで減少に拍車がかかるものと思われます。思い出してみると以前はテレビでタバコを吸う場面を多く見かけましたが、現在ではかなり減ってきています。ドクタースランプの則巻せんべい博士、さざえさんの波平さん、こち亀の両さんなどはヘビースモーカーでしたが、今ではなかなかテレビに出づらいのではないかと思います。両さんはタバコを辞めました。おそらく波平さんも。一方、強気でぷかぷかやっていたNANAは抗議文を送られています。

『漫画、テレビアニメ「NANA」の喫煙描写に対する抗議文と要請 日本禁煙学会』 http://www.nosmoke55.jp/action/0606nana.html

暴走・不良行為も同様で、頭文字Dは頑張っていますが湾岸ミッドナイトは2008年に一旦終了後後に新シリーズを再開、オーバーレブも2004年に連載を終了しています。ぶっこみの拓やバリバリ伝説なんて大昔ですね。サイコメトラーEIJIなど不良少年をメインに扱った作品も減っているように感じます。(不良な素振りをしているが中身は良い人であることがほとんですが)そういえばメジャー誌のバイク漫画って今あるんでしょうか。

タバコや暴走行為(や不良行為)については漫画やテレビから締め出され、その上タバコの値上げや喫煙場所の減少、ガソリン価格の値上げなどの理由により、その影響を受ける中高生が減ったのかもしれません。それが真実だとすると、気になる点がひとつあります。

それはコンピュータに関連する違法行為です。法務省の外局である公安調査庁の職員がなぜか発砲するという噂もありますが、それはさておきつつもブラッディ・マンデイは視聴率もそこそこ高く、話題にもなりました。漫画も連載中です。

これを見て中高生が不正アクセス行為を含めたいろんなことを「かっこいい」と思ってしまうことはないのでしょうか。もちろん今のIT関連の技術者のうち少なくない人々がスレスレ(もしくは真っ黒)のところを通ってやってきたことは間違いのないところです。特にセキュリティに関連した部分ではアングラなサイトを通してしか学べないという部分もあり、仕方のないことであると言えるでしょう。また、既にコンピュータを悪用しようとする人は確かに存在しますので、それに立ち向かう人は賞賛されてしかるべきであると思います。

もうひとつ。コンピュータに対する危険意識を過剰に刺激したりはしないでしょうか。今の政権では国民背番号制を進めようとしていますが、ドラマや漫画の中のできごとと現実をいっしょくたにして影響を受ける人がいないかとても心配です。

私もとりあえずサイドブレーキ引けば車はスピンする、くらいに思っていた時期がありますので大きなことは言えませんが例えば車のドリフト走行に関する認識であれば大人が子どもに「あれは漫画だよ」と言うことは難しくありません。車の運転免許を持っている人は数多くいますし、そのあたりを自動車が実際に走っているところを多く見かけるからです。しかしITの世界となるとよくわからないという人が少なくないのではないかと思います。そして駅の自動券売機や発電所を管理するシステムなどというと障害の時以外にはほとんど意識されません。そういったことが疑心暗鬼を生じやすくしているのではないかと思います。

私はIT技術者ですので、適正に物事が進められれば国民背番号制が採択されて欲しいと願っています。また、その基盤には国民全員が乗るよう義務化されて欲しいと思っています。もちろん不安を覚える人に納得のいく説明をすることは前提です。イデオロギーとして国家は国民を管理すべきでないと考える人との折り合いは難しいと思われますが、それは政治家の人にお任せするとしましょう。

ITの犯罪行為を扱うドラマや漫画はタバコや暴走族と違って実世界への直接的な影響が少ない以上、自粛をお願いするということは考えづらいものがあります。ということは我々IT技術者自身で主張をしていかなくては、いつかIT技術者が偏見を受けるかもしれません。ですので技術的におかしな作品があれば「実はあれはあーなんです」ということをブログやtwitterだけでなく、インターネット外の紙媒体や小学校への出張授業など幅広く伝えていく必要があるように思いました。もちろん優秀な次世代の興味をひくためにこっそりハッキングの腕前を披露するのも良いかもしれません。

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