余は如何にしてシステムアナリストとなりしか
昨年システムアナリスト試験に合格して1年が経ちました。
受かる前と受かる後で特に大きな変化はありませんでしたが、ひとつあげるとすればこうしてオルタナティブ・ブログに参加するきっかけになったという事があります。それでも資格を取った事よりもブログを始めた事のほうがよほど得るものが大きかったように思います。そもそもシステムアナリストを受けようと思ったきっかけはどこにあったのか。思い出してみました。
(ここから先はただの自分語りです。受験に役立つHowToなどはありません)
大きく遡って高校生の時、自分はずいぶん理系寄りでした。図書館にはよく行きましたが、理工系の書籍を読むのが好きでした。ところが国語の教科書に載っていた夏目漱石の「私の個人主義」の抜粋版に興味を持ったことから、人文系の本も読むようになりました。
その縁で高3の夏に新島襄という存在を知りました。私は同志社の卒業生ではありますが、今ではそれほど熱心な信奉者ではありません。しかしながら高3の時は「江戸時代に1人で渡米って超アウトロー!まじかっこいい!」と、すごく表面的な部分にリスペクトを抱きました。
そこで頑張って受験勉強をして同志社大学に入学したか、と言うとそうではありませんでした。指定校推薦という制度があり、ちゃらい小論文を書いてあっさり合格しました。高校3年の12月から後は車の免許を取ったりバイトしたりしていました。つまり受験勉強を回避しました。大きなショートカットその1でした。
その後、大学に入っても理系癖が抜けずに商学部に在籍しながらも隣接科目という制度で経済数学を取ったりしていました。そうこうしていると大学3回生の夏になりました。就職インターンシップ制度というのがあり、地元名古屋のユーザ系SIerにインターン枠がありました。それに参加して半月ほどのSE体験をしました。システム系の会社というと、理想と現実に大きなズレがあることから離職率が高いということがよく言われます。その点では「インターンでSE体験をしてみたけどやっぱりシステムに関する仕事がしたいです」という主張は人事側としても受け入れ易いものだったのでしょう。
このためか、システム系の企業の面接でSEインターンをした事があるということを話すとどんどん面接が進みました。その中で色々な企業を迷った挙句、人事部主宰の会社説明会で会社説明が極めて理詰めな調子なのが印象的だったところに決めました。4回生の4月初旬です。早いかと思いましたが、あっさりスーツを脱ぎ捨てました。そういうことで就職活動もあまり一生懸命していません。OB訪問もせずにいきなり業務を見せてもらい、たまたまその空気が合って、そのままシステム業界にようこそ!しました。大きなショートカットその2でした。(ちなみにマーケティング専攻だったことから、内定後に何となく食品メーカや酒類・飲料類のメーカを受けました。驚異的なほど落ちました。周りを見渡しても自分だけがエントリーシート段階で落ちるとかも……。きっと向き不向きがあるんですね。)
ところが彼女がいない4年間の最後の夏にやはり彼女がいなかったので1人で鬱々としていると、なんとなくこれではいけないような気がしてきました。なぜか本屋さんに行って基本情報処理技術者の参考書を立ち読みし、購入し、ネットで出願しました。そしてその秋に基本情報に合格しました。たぶん彼女がいたらそんな事には気付かなかったでしょう。これは良い回り道でした。
この時にはこれまでの暮らしであまり経験が無かった強い充実感・達成感がありました。大学の合格も会社の内定もいまいちピンと来なかったのですが、何もごまかさずに努力して勝ち取った合格証書をとても大切に思いました。そして試験区分一覧を見て、最高位っぽいところに書いてあるシステムアナリストというやつを20代のうちに取るぞ!と思いました。
こうして入社してからもその目標を追い続ける事で、モチベーションを維持することができました。自分の場合、モチベーションを維持すること以外にシステムアナリストに受かる秘訣は無かったように思います。予備校にも行っていないですし通信教育も受けていません。参考書1冊勝負でした。昨年の2006年試験で一発合格し、今週の月曜日までのこの1年間を日本で一番若いシステムアナリストとして過ごしました。
資格試験はショートカットが効きません。(午前試験免除はありますが。)これまでの人生を振り返ってみれば、受験勉強も就職活動も「しんどい思いをせずに済んでよかったわー」という思いもあるにはありますが、やっていたらきっと大きな発見や成長があったのだと思います。自分にはそうしたものがありません。そのことに気付いて、穴を埋めようと思って頑張ってきたのが情報処理試験であり、システムアナリストであったように思います。
取りたいリストに入っている資格には、システム監査や技術士もあります。新制度になれば、これまでに取得した区分を再受験する事もあるかもしれません。当面の目標だったアナリストについては前倒しでクリアしましたが、満足はしていません。それは2回のショートカットがこれからも心に残り続けるからなんだと思います。指定校推薦もインターンシップも省エネと時間の節約には最高でしたが、得るものはありませんでした。だからこれから先にどんなショートカットコースが現れるかわかりませんが、そこは敢えて通らないようにしていきたいというのが大学卒業時からの思いです。なんかこういうのってうまい故事成語とかありそうですが、思いつきません。吾唯足知?塞翁が馬は違うな……。こんな時に頼もしい奥さんは先に寝てしまいました。
それはさておき、今週になって24,25,26歳のシステムアナリストさん達が生まれました。おめでとうございます。もし知り合いだったら「如何にしてシステムアナリストとなりしか」を聞けたらとても嬉しいのですが、残念ながら私の周りにはいないようです。意外と「会社が受けろといったので受けたら受かった」なんていう感じだったりするんでしょうか……。