危ないと認識すれば危なくない
物事を最初から危ないと認識していれば、
その危険性は減らす事ができます。
危険な物事を「危険でない」と思い込んでしまうと
その危険性は飛躍的に高まります。
火薬に関する事故
火薬については火薬類取締法などの法令により
取り扱いが厳しく定められていますし、
危険物取扱者などの資格もあります。
関係省庁は事故件数や原因などを分析して報告書を作成しています。
この甲斐あってか、「火薬」という危険なイメージとは違って
実際の事故件数は少ないですし、被害も大きくないように感じます。
原子力安全保安院(火薬類の安全)
温泉掘削に伴う天然ガスの事故
こちらは掘削や設備の運用を行う専門家内では
危険性が認識されていたようですが、
温泉関連のサービス業の世界には定着が浅かったようです。
結果、前代未聞の爆発事故を起こしました。
システムの運用
サーバ運用では「駆動部品があるパーツは必ず壊れる」という認識があります。
サーバでもっとも駆動する部品と言えば、ハードディスクです。
1分間に5400回転から1万回転以上で数年に渡り
回転し続ける部品ですので、故障率は高いです。
他にはフロッピーやCD,DVDドライブや、テープの読取装置や
テープのオートチェンジャーなどが駆動部品があるものです。
逆に、CPUなどは物理的に駆動する部品がありませんので、
故障する確率は低めです。
ハードディスクの破損はシステムを運用していく上で致命的なものです。
ですので多重化することでシステムの停止を避ける仕組みがあります。
これは「最初から壊れる事が想定されている」ので
故障時の処置が速やかに行われるという対応策です。
なお、昔のMDやCDの携帯型プレーヤーよりも精密にできているはずの
iPodが壊れにくいのも駆動部品が少ないからという部分が大きいでしょう。
(nanoなどのフラッシュメモリを使用した製品についてはそうですが、
ハードディスク搭載モデルは衝撃加えたら壊れると思います。)
原子力発電
原子力発電の世界でも、核物質の取扱については
極めて厳重な管理が行われています。
初期の核物理研究者の方々は放射線の危険性が
今ほど認識されていなかったことだと思います。
そのせいでキュリー夫妻などを代表として若くして亡くなった方が
たくさんおられました。今ではその危険性が広く認識されています。
また、危険性を認識しつつ、体の内部のレントゲン写真を撮ったり、
電力を取り出したり、医療材料の滅菌をしたりするのに活用されています。
香港カーブ
最後に挙げておきたいのが香港の啓徳空港です。
見所は香港カーブと言われる着陸前の大きなカーブです。
しかもカーブを曲がった後にビルのてっぺんをかすめるような高度で
着陸に至るというアクロバット飛行のようなひとときが味わえたそうです。
こちらの空港に着陸するには、経験豊富なパイロットでも
全神経を集中して挑む必要があったため、その着陸の難易度からしてみれば
実際に発生した着陸時の事故が少なかったと言われています。
世の中には危険がたくさんありますが、
危険だという認識が十分されているものはさほど危険ではありません。
「まいっか」とか「だいじょうぶだろう」と危険を軽視する事が
危険を本当の意味で危険ならしめるものだと思います。
閉鎖される前に香港カーブを体験しておきたかったです。残念……。