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いいものはいいと素直に受け入れ、理想に向かって努力する「ヤンチャ」な日々

シナリオとペルソナを生かすには

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今回の話題は、前々回の記事「いまテクニカルライターに求められているもの」の続きです。今後テクニカルライターに求められるものの1つに、「シナリオ」と「ペルソナ」を生かすことがあると思っています。

ユーザビリティ活動推進のために共立出版が発行した『ユーザビリティハンドブック』には、「シナリオは、ユーザーがどのような状況で何をするかという、システム使用に関する文脈とタスクの情報を表現している」と説明されています。また、「シナリオは、具体的な記述であり、特定の事例や局面を示すもの」とも書かれています。たとえば、「番長にショートメッセージを送るために携帯電話のメールボタンを右手親指で押す」という文はシナリオです。また、同書では、ペルソナを「シナリオに登場するソフトウェアや機器の使用者」と説明しています。ペルソナには、年齢、性別、職業、家族構成、居住地、趣味嗜好、性格などを詳しく設定するとも記されています。この点がよく耳にする「ターゲットユーザー」とペルソナで大きく異なっています。

ソフトウェアや機器の設計検討手法としてシナリオやペルソナを使うことで、複数の開発者間での考え方や判断のズレをなくし、一貫性を保ち、実際の使用者との乖離が生じるのを抑えることができるそうです。シナリオやペルソナを使った設計や開発は、具体的にいくつかの企業で行われているようですが、日本国内にどれほど浸透しているかはわかりません。。

テクニカルライターであり、ソフトウェアや機器に付属する取扱説明書やマニュアルの原稿を書いている者としては、シナリオとペルソナが手元にあれば、これまでと違うアプローチで取扱説明書やマニュアルを作ることができると思っています。まず、ペルソナによって製品の使用者が決まれば、その人物がマニュアルの読者にもなります。そして、シナリオがあれば、それを元にマニュアルの原稿を書けます。これは、製品の使い方を上手に伝えるための方法を示してくれます。さらに、複数のペルソナが存在していたときには、それぞれに合わせてマニュアルの原稿を作り、実際の使用者にもっとも近いペルソナを元にしたマニュアルをオンデマンド印刷やオンラインマニュアルで提供するしくみが作れます。これは、すでに何年にもわたって言い続けられてきた「ユーザーが特定できないためにわかりづらくなってしまう」というマニュアル制作での問題点を解決する1つの方法になるはずです。

先ほども示したように、すでにシナリオとペルソナは実用化されています。テクニカルライターは、これらをマニュアルにも生かす試行が必要です。ただし、残念ながら私のようなフリーランステクニカルライターだけでは、シナリオとペルソナを使ったマニュアル制作を実際に試すことができません。それは請負業だからです。前々回の記事「いまテクニカルライターに求められているもの」で示したものは、フリーランスでも試せますし、その結果をフィードバックして改善していくこともできます。これに対してシナリオとペルソナを生かしたマニュアル制作は、知識は得られますが実務での試行ができていない状況です。この記事を読んだ企業の方から、「おもしろそうだから、いっしょに始めてみましょう」と声がかかることを期待しています。

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