IBM が狙うのは既存資産とのシームレスな融合なんだよね、たぶん
昨日は、ITmedia ブロガーズ・ミーティング「LotusLive が作るスマートな働き方」に参加したので、ファーストインプレッションを (実際に Lotus Live を使った印象は別の機会にでも)。
多くの企業が、Excel で作成した「課題管理表」や Word で作成した「議事録」をメールで交換し、プロジェクトメンバー間のコミュニケーションをしている中で、「LotusLive を利用することで改善できるのか」、「無償のツールを組み合わせることより、効率がいいのか。」という視点で参加してみました。
当日の様子は Twitter 中継したので、そちらも参照していただくとして、LotusLive をひとことで表現すると、以下のようになります。
「メールでは向かない、メールではできない企業間コラボレーション環境を、パブリッククラウドで提供する。」
メールでは向かない企業間コラボレーションの代表例である「ファイル共有」と「アクション管理」の対応ですが、「ファイル共有」では簡単なバージョン管理ができ、「アクション管理」では単なるタスク管理だけではく、そのタスクに関連するディスカッションができるそうです。こうしてみると、Trac や Redmine、Backlog と機能的にはなんら違いはなさそうです。
Trac や Redmine は自身でインストールし、運用しなければいけなく、それなりのお作法でコミュニケーションを進めていくのですが、LotusLive にはそのようなお作法はいらない様子です。すなわち、ゆるやかに運用ができそうだというのは、敷居が低くていいなという印象を持ちました。
(様々なプロジェクトで、Trac や Redmine を使っていますが、相手によっては使っていただけず、メールしてくる方もいらっしゃるのでね。)
しかし、ゆるやかな運用の中でもしっかり欲しいのが「通知」の機能。LotusLive のデモを見ている限りでは、指示する側が通知メールの送信先を決定できるようですが、これだけでは足りません。指定した条件に合致した時点で通知メールが届くようなワークフローや、通知先のメールアドレスを携帯電話にも届くような配慮が欲しいですね。「通知」って、単なるお知らせだけではなく、アクションを誘発するものとしてあると思うので。
LotusLive には、Web 会議機能や電話会議連携機能もあり、ユニークだと思ったのが電話会議連携。LotusLive が擬人化して電話会議に参加し、その音声データを録音したり、中継したりできるそうです。この擬人化を発展させて、議事録を作成する秘書機能ができると面白いなと感じましたよ。是非とも IBM Research の方にはがんばってもらいたいですね。Web 会議については、iPhone や BlackBerry でも利用できるということなので、CISCO の WebEX と同じですね。バンド幅の制御等、より深い技術的な質問をしたかったけど、またの機会にしますね。
米国では、Lotus Notes クライアントを利用できるということで、「クラウド = ブラウザのみ」ではなく「既存の資産」を利用可能にしている点は、IBM らしいですね。チャットの Sametime Connect クライアントの技術を活用されているということで、クライアント側に既存のソフトウェアを利用できるようにしている点は新鮮に見えました。
LotusLive が狙っている点は、「メールでは向かない、メールではできない企業間コラボレーション環境を提供する。」ことなのですが、説明やデモを見ている限りでは、発展途上のサービスだなというのが全体にわたる印象でした。たとえば、メールやファイル共有をとってみると、Google Apps。Web 会議であれば WebEX。の方が、専用サービス化している点で有利かもしれません。
しかし、LotusLive (というより IBM) は、個々の機能でそれらと競争しようとしていない様子です。それは、既存資産の有効活用を支援するための API を整備しようとしている点が、最終的に自身の強みになると確信しているからなのだろうなと感じたからです。既存の顧客に対して、コスト削減 (ユニバーサルでコモディティなサービスをクラウドで提供する) を提案する際に、お客様のミッションクリティカルな業務アプリとの連携を約束できる点が IBM の強みというのであれば、LotusLiveは面白いサービスですね。
LotusLive で実現するスマートな働き方や活躍シーンについては、実際に使ってみてから考えてみたいと思います。
最後に、X-IBM/X-Lotus の方ばかりの中で、関係者の方お疲れ様でした。