型から入ることが正しいか(その2)?
前回は企業経営や経営管理の面から、型から入ることが正しいかということを書いて見ました。
それでは個人としてはどうでしょうか?
まず会社勤めを始める時、これは型を見倣う必要があると思います。会社での立ち振る舞い、仕事の進め方、そして何よりもビジネス上のマナーなど、本で読んでもわからない型があります。それは所属する会社の色もありますし、業界のしきたりもあると思います。様々な型は、自らの経験として体に染みつくようになりますが、とりあえず始めは見よう見まねでも型に従う必要があります。
私が在籍していたIBMの新入社員研修は有名ですが、これも一種の型を学ばせるものだと思います。そのときは、何でこんなことを、意味があるのかという疑問を持っていましたが、IBMで仕事をし、いろいろな会社に勤め、そして会社を離れお客さまをコンサルテーションしていて、始めの型が無い企業は様々な困難に直面することを観察し、型の重要性を再認識しました。
まず、モデル社員、先輩等の教えからビジネスのやり方の型を学ぶことは必要だと思います。
しかし、型は万能ではありません。自らがそれを下地に自分のやり方を作らなくては不十分です。つまり、研修や教育、さらにはOJT等で教わったことを理解してその通りに行うのでは個人の特性にマッチしない部分があるため、マイナスが生じるということです。最近、論理的思考法、営業方法、さらには戦略分析等の教育やトレーニングがよく行われますが、これを学習しても実際に使いこなせないことが多いのも、型=答え(または解法)だという誤解が根底にあるのではないでしょうか?
沢山でるビジネス書も同じだと思います。成功事例、フレームワークを学んでも結局自らが使いこなせなければ意味がありません。つまりビジネス書は教科書ではなく、参考書、つまりアイデアやヒントが書いてあるだけで、必ずしもそこにあるとおりのことが成功を約束しないものだからです。
特に最近は、コンサルタントに目立ちますが、まず格好や立ち振る舞いで型にはまる、でも内容が乏しい、さらには理屈を口頭で述べ続けるが、結局実務で役に立たないという人を多く見かけます。いろいろな経験を通じて、自らがフレームワークを生み出していくための糧として型を利用するべきとことが、型にはまったことで満足してしまうのかなと感じます。
会社の場合もそうですが、やはり型はあくまでもガイドやヒントでしか無いのではと思います。まずは学ぶ事が重要ですが、学んで理解して、まねてもそれは自分の力にはなっていない。だからこそ、敢えて型を否定して、自らのやりかたや方法を編み出す努力が重要なのではと思います。