IT雑誌の広告 記事広告について考える
久しぶりにこのブログの本題である、IT業界のマーケティングに関して書いてみたいと思います。
ここ数週間、IT系の雑誌をつぶさに見ていましたが、相変わらずの広告量の多さだけでなく、均質化した広告が多くなってきたという感じがします。現在の傾向は大きく分けて下記3つに集約されると思います。
- 会社や製品だけを前面に出した広告
- 漠然とした事例広告
- いわゆる記事広告形態の事例または製品広告
1、2は今までもよく行われていた手法ですので、中には斬新なものもありますが、基本的には広告として読み飛ばされる可能性が高く、かつ記憶にもあまり残りません。それに対して、大手数社が競うように行っている記事広告形態のもの、それもちょっと知的なインタビュアーがユーザ企業や、広告主企業の個人にインタビューを行う形式の広告が幅を利かせだしていると思います。
いわゆる”宣伝”ではなく、”読物”として広告を使っている訳ですが、その効果もなくなってきたと感じます。いくつかの理由がありますが、
- あまりにも同じタイプの広告が多い
- 1回の雑誌に同じタイプが集約して掲載されている
- インタビュー内容がよくない
というところが大きな理由だと思います。特に社員へのインタビューでの記事広告に至っては、単なる宣伝をインタビュー形式でのQ&A型に変えただけであり、内容を読んでも何も記憶に残りません。社内で評価されている人であっても、世間一般から見た場合には、その企業の一員でしかなく、説得力のある内容がインタビューから引出せるとは到底思えません。
また、事例も通り一遍のニーズ、ソリューション、選定理由といった形態で、メーカ等が行うプレゼンテーションと同じ内容をそのままユーザを使ってストーリ風に仕立てているだけです。
広告を宣伝から読み物へ変質させる試みは評価できますが、その手法はあくまでもまだ宣伝の粋を出ない、一方的な(自画自賛の)価値の伝達にとどまっています。広告が広告の価値を超えるためには、様々な試みを行っていく必要があると思います。同じ読み物でも、視点を変えて専門性を追求した本格的な技術論を伝えるシリーズ物にしていくですとか、導入に際しての問題点とクリアの方法といった実践的な使い方を提示してみるですとか、本当に興味を持っている人には読み飛ばすことができない工夫が必要だと思います。
広告に変わり、スポンサーシップによるホワイトペーパーなど、形を変えた様々な広告(代替)手法が出てきていますが、個人的には広告の手軽さ(読む側にとっても、出す側にとっても)に関しては否定していません。もっと広告費用を効果的に使うために、既存の概念にとらわれず、的を絞った広告をトライしてみるべき時期ではないかと思います。