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再生することの難しさ その2

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昨日はダムを自然に帰すということで「再生のすることの難しさ」の一面を投稿しましたが、同時期に日本での自然再生(+地域再生)の記事も別の雑誌に載っていましたので、そちらに関しても触れてみたいと思います。

日経ビジネスの2007年4月30日号に「水俣発 地球再生」という特集記事が載っています。ここではあまり自然再生の経緯には触れられていませんが、水俣病の原因と発生メカニズムが解明されてから、水俣湾は長い時間を掛けて再生されました。具体的には湾に汚染された魚を閉じ込め、長い時間を掛けて汚染を除去して自然の状態を取り戻しています。まだ100%とはいえないのかもしれませんが、水俣病が発生した後の情況から比較すると、殆どと言っていいほど自然に戻っているそうです。

一方で、企業城下町であった水俣市では、未だに過去の因縁ともいえるしこりは残っているようです。私も大学のときに、法学部で不法行為や環境論を学んでいましたので、このあたりのお話は沢山聞きましたが、環境よりも人や社会に残るしこりを解決してもとの状態に戻すことは、自然再生よりも大変であるということを、記事を読んで再認識しました。

しかし、その一方で行政、患者、住民の間には、ある程度の共同歩調が組み上げられており、自然を守ること、環境に配慮に対して社会としての試みが根付いているようです。その意味でも、極限とも言える環境破壊を経験した地域社会が、如何にして地域コミュニティを再生していけるのか、一つのモデルケースともいえると思います。

現在の情況が不完全であることは否めません。これから、また長い時間を掛けて社会に残るしこりを解決していき、水俣病以前、またはそれ以上に健全な地域社会に向けて一歩一歩歩んでいって欲しいと思います。

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