産業革命の歴史に習う
活字の発明と、蒸気機関の発明が産業に与えた影響は大きいことは、歴史の上では事実です。しかし、「産業界での本当の革命は動力の伝え方にあるという」言葉を、本で読んだことを思い出したのですが、どの本であったかを探しきれないので記憶だけで書きます(多分ドラッカーとかだと思うのですが、メモを取らなかったので分からなくなりました)。
蒸気による動力機関は、物の製造という意味では、今までに無い安定した動力源であり、人力や馬力等に比べて格段に大きなエネルギーを提供可能にしました。しかし、エネルギーの蓄積や、距離がある箇所への伝達に関しては、その性質から旧来からの飛躍的な進歩を遂げることはありませんでした。
その後、電気が動力源になり、ある意味で蒸気で生まれたエネルギーを別の形のものに変えることで、エネルギーの可搬性と蓄積が可能になったことで、産業の進歩はもたらされました。
この歴史が教えてくれることは、産業での変革の起爆剤は、
- 処理が可能な量を増やす
- 処理のためのエネルギーの発生と消費を分離し、発生箇所から距離がある場所での消費を可能にする
- 蓄積を可能にして、消費までの間に時間のギャップを持つことを可能にする
という3つの条件から成立しているということです。
このことは、示唆に富んでいて、新しいビジネスモデルを構築・検証する際の、大きな指針になります。Web2.0と称される昨今のインターネットでのビジネスでも、本質的な変化を生んでいるものと、そうでないものをこの条件とあわせて考えてみると、峻別も可能だと思います。
結論から言えば、現在は産業としてのモデルは停滞時期です。技術としてのインターネットは最早や社会環境に取り込まれていて、最新の活用方法としてのWeb2.0はその中でのブームや流れでしかありません。最近では、コンピュータ自体の作りや、半導体などの要素に劇的な変化が起こることで、産業モデル(含むビジネス・モデル)が変わるのではないかと感じています。量子コンピュータの、研究所の理論から現実論への変化などが、その起爆剤になるのではと、考えています。
「技術が社会や産業を抜本的に変える」時期も、もうすぐではないかと思います。