B-Bサービス業のバリュー・プロポジション
永井さんが、以前こちらのブログで「非常に怖いバリュー・プロポジションの誤解」という投稿をされていましたので、サービスでのバリュー・プロポジションに関して私見を書いてみたいと思います。
形の無いサービスはバリュー・プロポジションが難しいことも事実です。消費者向けのサービス業では、基本的には
- 「劣位アクション」に則り消費者に対してサービスを提供している姿を見せること
- 日常で必要となることに対するサービス提供であることの単純明快な提示
- イメージによる差別化
などなど、一定のバリュー・プロポジションの方法に則っていると思います。これは不特定多数に対するメッセージ発信(口コミを含む)や、顧客接点の持ち方によって組み立てられてきた手法であると思います。
一方で、ビジネスの世界でのサービス業は、バリュー・プロポジションが難しいと思います。例を2つほど挙げます。
- SIを主業とされている会社(小さな会社ですね)では、専門技術者数、技術レベル、過去の実績でバリュー・プロポジションを行う会社が多いと思います。しかし、世の中に存在する小ぶりのSI企業は、殆どが同じバリュー・プロポジションを行っています。その結果、最終的には単価での競争にならざるを得ないことが現状です。
- コンサルティングを主業とされている小さな会社は、専門性を高めてバリュー・プロポジションをしたいのですが、そもそもコンサルティング領域(作業範囲も含む)はお客さまのニーズに対して明確には定義できないため、どうしても総花的なメッセージになります。また、実績やスキルを客観的かつ明確に定義もできませんので、どうしても、履歴や人的つながりに頼ることになります。その結果、事業を大きく展開することが難しくなります。
私の行っている、マーケティングのコンサルティングや業務支援も同じジレンマを抱えていて、やはり同業他社に対してバリュー・プロポジションは困難を極めます。結局は、人づてでのエンドースメントによるバリュー・プロポジションになってしまいます。
B-Bのサービス業のバリュー・プロポジションでは、1)長所、2)差別化、3)顧客ニーズへの適合、というバリュープロポジションの3類型で考えると、「③の顧客ニーズに的を絞る」ことに他ならないのではと思います。稀に、差別化が可能なこともありますが、市場からみた場合に明確に解るものとしては、自社の長所でもなく、他社との差別化でもなく、お客さまが現実的に見据えているニーズを直接的に解決できる手段であることを、明確に提示していくことが最優先になると考えます。
その考えでいくと、特に小規模SIではバリュープロポジショニングは厳しいものになりますね…事業戦略のお手伝いをしているお客さまも含め多くのサービス業者は、少し長期的なバリュープロポジションを考えるために、永井さんの書かれているように、「見直し」の時期にきていると思います。自分のお客さまとも、そんな話を始めました。