書評「日本スーパーマーケット創論」
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先週はセブンイレブンの本を読みましたが、今週数冊読んだ中で特に印象に残ったものとして安土敏さんの「日本スーパーマーケット創論」があります。
ご存知の方も多いと思いますが、安土さんは本名「荒井」さんで、サミットを立て直したというよりも今日のスーパーマーケットの原型(標準形)を作った方々の一人です。サミットは優良スーパーマーケットですが、その成功までの道のりは試行錯誤の連続だったようで、その間の苦闘と経験から学んだことが見事に記述されています。
スーパーマーケット独特の経営・運営技術に関しての記述も、雑学として役に立ちますが、
- 組織経営とはどのように成立していくか
- 外国をモデルにして新しいビジネスシステムを導入する時ときに発生する間違い
という2点に関しては、業界を超えて参考になります。特によくお手伝いをする、大企業の新規事業に関しては、様々な忠告を与えてくれています。
また、結構表現として面白かった部分は、
- セールス会社(商社等)は卓球や柔道の団体戦、スーパーマーケットを含む機能分業型はチーム競技(正確にはそうは書いてありませんが、主旨は同じです)
という部分で、消費財、製造業、流通業での組織の重要性に関して、高等生物にたとえて見事に比喩しています。
サミットが様々な困難に対して行った試行錯誤、時には失敗もあり、時には軋轢も生み、その中で原点に戻って、既存の概念をリセットして外から学ぶことで勝ち取った成功は、非常に貴重なものだと思います。何気なく行っているサミット、そして後に続いたスーパーマーケットですが、この本を読んだ後に行くと、売り場もバックヤードも別のものに見えてきます。
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