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管理職になりたくない人へ:出世より現場で自分の評価を上げて報酬をあげる方法

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前回のエントリに続き、本日は「管理職になりたくない人」へのキー・メッセージとなります。できれば管理職になりたくないけど社会人キャリアは無事積み重ねていきたい人に、これまでの小職の体験をふまえ、今後のキャリアプランのヒントにできるだけなれればと思うメッセージをエントリに書かせていただきます。

 

 

1.大前提

まず大前提として申し上げたいのは、出世を置いてでも現場の専門性研鑽に生きたいと思う貴方は、一般的には、企業からするとかなり特殊な存在に映ることを忘れないようにしましょう。小職のようなベンチャー企業ならまだしも、一般的企業はピラミッドモデルに基づき、スキルを発揮し経験を溜めた貴方をできるだけ管理職へエスカレーションして、後進の育成指導に期待したいと思っているはずです。現場に留まりたいと表明する貴方を上層は次のようにみます。

・後進の指導を現場で熱心に継続してくれるのは大変ありがたい。

・でも現場にいるとたくさんの後進指導は難しい=指導者としてのスケールが小さくなる。

・管理職のキャリアパスを辞退したのだから、現場レートでの報酬限界でいいのよね。

というわけで、何も工夫しないと貴方は一般的な昇進レースから外れるだけでなく、昇給の望みも小さくなるリスクが高いわけです。ですが、それが悲観的だと言ってるわけではありません。新しいアピール・シナリオでTRYしていけばいいのです。

・管理職ポジションからよりも濃い指導ができるのだから、少ないかも知れないけれど愛弟子はかなり優秀になれるし、自分ひとりで後継者なしになるより100万倍マシでしょう。有望な弟子候補をむしろどんどん付けてほしいくらい。

・現場に長くいれることでより凝縮したノウハウを中長期に現場へ蓄積させる貢献期待は大。後進達でもできることだが、自身がいることでその凝縮度合いがさらに深く、さらに広がることが期待できるはず。

・本来管理職になれる素養ある人があえて現場に残ることで、現場の細々な問題課題を適切に上層へエスカレーションでき、また現場との意見調整役がより丁寧に行うこともできる。管理職なんて椅子の数も決まっているのに、わざわざレースに出ないことにむしろ感謝してほしいくらい(これは言っていいことかどうかは迷う・・・苦笑)。

あくまで例示ですが、このような工夫でアピールしていくことで、貴方は昇進があまり期待できなくなったとしとも、昇給は捨てずに上手く獲得できるかも知れません。

 

  

2.プレイング・マネジャーとして

現場で采配するリーダー・ポジションである以上、ベテランの貴方は、プレイング・マネジャーとして、現場のリーダーであり且つ技術者あるいは専門的知識やスキルを発揮する人として、現場から「崇拝」される必要があります。

・現場で「今必要とされる」スキルのリーダーであり続ける

・現場が「少し先で求められる」新しいスキルの先駆者も目指しながら突き進む

・現場に存在する問題課題の解決推進役として、先頭に立ち続け、後進の教育指導も行う

コンサル・ファームは、大手では一定の管理職から現場を離れざるを得ないピラミッドになりますが、ブティックやベンチャーと言われるようなファームでは、それこそ社長になっても現場も持ち続ける(100%ではないけれど)、現場主義が多いです。

なので、私も前職では、自身が現場に通う案件を多数持ちました。でも、それでも現場のフルアサインのメンバーからは、「週に2日も来ない管理職」と揶揄されました。フルタイムアサイン・メンバーからみれば、フルタイムでない上司は所詮管理職であり、この溝は永遠に埋まりません。ですから、「週2日」でフルタイムに相当するVALUEを見せつける努力を怠らない必要があります。

言葉遣いの悪い順に言うと(苦笑)、現場で大活躍する貴方に必要な姿勢とは、

周囲を「シャブ中にする」「痺れさせる」「唸らせる」ことが求められるのです。

一撃必殺じゃあないですが、或る1つのHIGHEST VALUEで、当分の間、周囲を黙らせるスキルを見せつける努力の継続が必要なのです。

これが実践できれば、プレイング・マネジャーといえど帰属会社における貢献度は絶大で、普通の管理職相当もしくはそれ以上の報酬あって然るべきなのです。

  

  

3.とはいえ、現場へのリスペクトを維持するための「禁則」

貴方が現場に残ることで、現場の高い生産性、または人材スキルの高さにリスペクトをより良い心証で維持することができるでしょう。

しかし、上層から現場をリスペクトさせるためには、禁則もあります。

・現場が優秀だ、現場が会社を支えているんだ、からと言って、経営層や管理職をディスってはならない。

・現場において優秀でない成長過渡期にいる人材に対して、不出来をディスってはならない。

・会社や経営層・管理職に改善課題があるとしても、社外にそれを触れ回ってはならない。

優秀であればあるほど、発言力や影響力が大きくなるのですから、人や組織をディスるのは、普通の人材以上に貴方へ課せられるペナルティは大きくなります。なかなかに完璧目指すのは無理でもあるのですが、現場および組織員の模範として、貴方はこれまで以上にしっかりした人間性を見せる必要があります。

高い技術力があれば、それだけで現場は貴方をリスペクトするでしょう。しかしだからといって技術力の低い人材をディスっていいわけではありませんし、そうしてしまうと技術力のGAPが大きければ大きいほど、貴方は惨めに周囲に映ることになります。世の中にもそういうNEWSがあふれているはずです。「技術がない」=「人間否定」みたいな権力者が必ずそのうち淘汰されていくのです。世の中は相当に不公平があふれていますので、経営職でそのような罰が当たる人に比べ、管理職への道を優先しないあなたには、もし罰が当たるときには一層の「日陰」が待っていることでしょう。経営職に近い人であればあるほど、「お世話になった」と恩義を感じている人の数は絶対数が多く(もしくはその人たちの応援する力が大きく)なり、貴方よりも救われることが多くなります。この点だけは特に忘れないことです。

私の場合は、父が管理職、経営職である姿をみて育ったことがあるためか、また最初の会社がかなりユニークだったため、「とにかく管理職になってみたい!」と新入社員の頃から思っていましたので、必ずしも私の意見が参考にはならないかもしれません。

ですが、世の中には一定の経営者と管理職が必要です。全員現場、という組織はあり得ません。管理職も経営職も現場をリスペクトすべきですし、そうしている人々はたくさんいます。そういう人たちと現場をリンクするのは貴方の責務ですし、うまくそれができれば、本当にやりがいのある職場にあるに違いありません。

まだ少しの数の会社ですが、経営職より現場のリーダーの方が高い報酬が得られている例もあります。一昔前に「スコアカード」という考え方が流行りました。評価基準にそって平等に報酬や昇進が定義されること、Diversityも考慮した評価のバリエーションを多数持つこと、が今に活かされていると思います。現場にいる貴方が、現場のメンバーが公正に評価されるように自身が見本となって、スキルのバランスやバリエーションを助言してあげる存在となってください。

今、あちこちの結構な現場に「不正」「怠慢」「成長停滞」が起きて、それが企業の存亡を脅かしたり本当に淘汰への道へ案内してしまったりしています。現場の声を経営に届け、経営の正しいメッセージを現場に咀嚼して伝えるのは貴方の役目です。そして貴方も、人生を楽しむべく、現場ならではのチャレンジを自らクリアしていく醍醐味を現場のメンバーにみせてあげ、お手本となっていただきたい、そう切に願っております。

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