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新入社員の心得

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10月に内定式を迎える来年春の新入社員の方々、少し早いのですが、入社(予定)おめでとうございます。もう、後戻りできませんね(笑)。来春に入社したらついに「社会人」です。まずは「ほどほどに」頑張ってくださいね。

私もそうでしたが、皆さん初めて社会に出るわけで、期待以上に不安もいっぱいです。少しだけ、今日は新入社員の心得について、話をさせていただければ幸いです。

私は1990年4月、アーサーアンダーセンアンドカンパニーという会計事務所に「入所」しました。9月にアンダーセンコンサルティングという経営コンサルティングファームがそこから別ユニットとして誕生し、私はそこの帰属社員となりました。

約12年半務める中で、私は、会計事務所が各クライアントに薦める会計システムの開発に従事するようになり、そして設計や要件定義等の経験も積み、管理職になり、営業して案件をとってくるようになりました。その過程で、会計システムの開発だけではなく、事業会社に必要な、様々なシステムの構想策定や設計・開発も、そしてシステム開発と関係ない、業務改善や組織の変革、当局監査対応のための第3者評価もやらせてもらえるようになりました。

次に務めた別の外資系ファームで、私は担当役員として、自身が預かる数十人の部下の人生が成り立つように、営業先から案件を獲得してみんなに配る役割になりました。サービス業というのは「営業して」案件を獲得してこないとみんなが「稼働」する仕事がないのです。「稼働」しないと「報酬請求」ができません。お金が会社に入らないのです。

そういう上級管理職体験を経て、自身で経営コンサルティングファームを起業し、6年経ちました。実は社員は7名しかいませんが、経営者の私はその7名の家族の人生も背負っています。僕の会社が倒れたら社員とご家族は路頭に彷徨ってしまいます。そうさせないように、営業先の確保、案件の獲得、案件の実行(依頼を完了し請求へ至れる)を継続していくことがミッションなのです。

そうして計28年経ちましたが、今でも新入社員のときに体験したことが、自分の大いなる「糧」になっています。そういう思いから、今日、来春に新入社員になる皆さんに、簡単ですが心得を紹介できたらと思います。

1.どんな仕事も、長い目でみれば、人生の糧になる

「新入社員」とは、経営側からすればはっきりいって即戦力ではありません。

ですが、会社にとって、とっても大事な存在です。

なぜかというと、みんなが数年たって成長すると、「次の世代を担う人財」になるからです。

だから、会社は「投資」としてみています。私の経営哲学でいうと、採算は気にしていません。将来の逸材になってほしいだけです。

期待しているからこそ、最初は、「なぜこれ?」という仕事が多いと思います。

とっても基本的で、事務的な仕事かも知れませんが、それは逆に、「誰でもできないと困る仕事」でもあります。だから若いうちに覚えていただきます。

以前も何度か投稿したんですが、最初の仕事はコピー取りとか、議事録作りとか、単純作業しか思えないことが殆どでした。でも、30年近くたった今でも、目の前の現場で、それを誰かがやらなければなりません。今の私がやったらコストは見合いません。でも、それを誰もやれないとき、採算なんかおいといて私はそれをやります。そのときに、「それ、俺じゃできない」というわけにはいかないのです。仕事を完結しないとお金が入らないからです。普段は採算の観点で自身はやらないけど、上司は「実は」できる(はずな)のです。だからみんなも、今それを体験しておけば、必ずいつかのための糧になります。

一人土曜日に出社して、提案書を書いて印刷してクライアント先に月曜必着で郵送したい。そのときにプリンターが紙詰まりしました。でも一人ぼっちだけど直せた。良かったー♪。新入社員のときに嫌というほど書類の印刷・製本をやらされたときにプリントのメンテナンスの基本を身に着けていたんで、本当に助かりました。

そんなことか?って思うかもですが、とっても大事なんです。こういう基本(事務)作業を僕らは「Primitive」と呼びます。本当に大事なんです。

2.最初の上司と最初の仕事は選べません。でも、みんなに平等な権利です

入社して、ほぼほぼ、どうしようもないことの1つが「最初の仕事」「最初の上司」を選べないことです。

これ、しょうがないです。

自身で起業して自分の自由にビジネスしない限り、必ず新入社員の皆さんの「登竜門」となります。ここは運命と受け入れて前に進むしかありません。

私の場合、最初の仕事は、希望はしてはみたけど、結局は現場からリクエストされて最初の仕事先が決まりました。後悔しているわけではありません。いずれにしても、「初めての現場」。ここからが新入社員のキャリア・スタートです。

少し上述してしまいましたが、とにかく言われた仕事をこなすことに専念しました。その仕事を自分がやるべきか、自分がすべき仕事って何だろう?なんて考える前に、与えられた仕事をきちんとこなして、まず結果を出してその上で自身が異なる希望を言えるように信頼されるようになろう、と邁進しました。

邁進は結果・成果につながります。「アイツ、やるじゃん」とクライアントにも認めていただけるようになりました。そのせいか、今でも同窓会を隔年くらいでやっています。クライアントの方々と、コンサルティングファーム側の仲間たちと、今でも連絡がとりあえる人達と。私は当時、新入社員でしたが、50歳超えた今でも「永遠の若輩者」です(笑)。でもみんなで楽しく今でも昔をふりかえることができます。経営者になった今も、こういうイベントでは襟を正されることが多いです。

当時の上司には、僕は感謝以外に何もありません。仕事機会という意味で、「?」がなかったとは言いません(苦笑)。でも、ありがたい、最初の、貴重な仕事機会だったな、と思っています。正確に言えば学生時代にアルバイトもしたけれど、それは社会人ではない仕事でした。家族を養うために仕事する状況にもつながる、最初の仕事機会がそこだったことには、本当に深謝の気持ちです。

どんな現場で誰が上司であっても、必ずあなたの貴重な糧になるのです。

3.1年経過したら、貴方は「次の新入社員の先輩」になります。

最後に、もう1つ。入社して1年経つと、次の新入社員が入社してきます。その時点で貴方は「先輩」になりました!現場次第では「上司」になります。これは、、、本当に脅威でもあり(笑)、感慨深いことです。

「新卒」とか「新入社員」とか言われるのは、要は1年間なのです。

「先輩」になると、1つ仕事が増えます。「新入社員に仕事を教える」ことです。

自身が一生懸命頑張っていれば、「教える」ことができます。ほぼ同じ道を新入社員が通ってきます。先に経験した人間で、且つ真剣に頑張った結果学んだ「やり方」とか「コツ」みたいなものを教えることができます。今の私がそれをやると、経験年数が違い過ぎて、むしろ手順もテクニックもこなれ過ぎていて、新入社員には覚えづらいこともあるようです。少しだけ「先輩」が教える方が効果的だったりもするようです。

そういうわけで、新入社員と自分のことを言ってられるのは要は1年間が限度なのです。1年なんてあっという間です。これからのキャリアを中長期的に夢描いている新人にとって、1年間はあっという間で、経験量も想像しているより多くないと感じるかも知れません。でも前述したようにとても貴重な体験です。

全員とまでは言えないですが、殆どの人は、後輩に仕事を教えることに、喜びとか達成感、自身の成長を実感できるでしょう。それが次のやる気にもつながるでしょう。入社が22歳で定年が60歳だとしたら、38年間働くことになります。「たった38年」とも言えます。平均寿命の半分もありません。もっと言えば、単純計算で約60000時間です。ビジネスという意味での人生はあっという間です。僕自身も、50歳を過ぎて、心底そう思います。まだ生きて健康でいられること、働けることが大変ありがたい。皆さんにも、そういう人生の「最初の1年」を、できるだけ有意義に過ごしていただけたらと思います。

私の場合は経営コンサルティング業に従事していますが、長く勤めれば勤めるほど、たくさんのクライアント、たくさんの案件を担当します。いつしか案件を実行するだけでなく、案件を獲ってくる営業もやるようになります。1つの案件が終わり、次のクライアント先に移動するとき、経験的にはそのクライアント先から「転職」するような気分にもなります。その転職疑似体験をたくさんします。達成感の一方で反省も多々、次の現場ではもっと頑張らないと、という気持ちに毎回心を引き締めさせられます。こういう気分はコンサルティング業ならではとも思います。そして、そういう業界にいる私にとっては、新卒入社で最初にもらえた機会を今でも全ての活動において、重要な糧の1つとして活用しています。

人生は誰も後戻りができません。新卒の方々全てに、その糧を存分に味わってほしいと思います。

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