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「ハドソン川の奇跡」に素直に反応できない自分・・・

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シロクマさんも書いておられましたが、マスメディアが「ハドソン川の奇跡」とえらく持ち上げて感動の報道に走る姿勢に、あまり気持ち良くこのNEWSを評価できない自分がいます。

 

素晴らしい技術、お人柄。ほんとに立派なことをやってのけた、本当にすごい人だと思いました。ですが問題は「ダブル」バードストライクがおきちゃったことですから。

そっちをきちんと詳細にかつ丁寧に報道していってほしいものです。

 

機長さんですが、空軍出身の大ベテランで経験豊富とくればこのような態度も技術披露も当然のことかも知れませんが、このような大惨事間際の事故が起きたこと自体を問題視して報道してほしいですね。

確かにかなりひさしぶりの、文句のつけどころない美談ではあります。彼が英雄扱いされることは、彼が注目されること、賞賛されることに抵抗がなければ思いっきり持ち上げていただければ良いとは思いますが、時折このような立派なお方は、そのように注目や賞賛されることに価値を感じないこともあるのではと思います。私のような器の小さい人間と違って(笑)、そのような周囲の評価に踊らされることのない、ご立派な性格、風格をおもちなのではないかと・・・

 

飯島愛さんの報道でも時々思うのですが、ご遺族やご友人の気持ちを察するに同じく、機長さんやご家族の方々の思いが「そっとしておいてほしい」だとしたら、それを慮るのはマスメディアの使命だと思います。その気持ちを報道し、当人たちの期待以上に盛り上げることはしないでほしい。

 

・・・とついつい思ってしまったものですから、素直に反応できないんでしょうねえ。

ちっちぇえなあ、自分(爆)

 

われわれのビジネスでは「overqualified」と言うのですが、日本語に無理やり訳すと「資格過剰」というやつで、基準を大幅に超える能力をもった技術者がサービスを提供することによって、本来の期待値を大幅に超えたその状態を「当然の満足値」と勘違いしてしまい、どんどん期待サービスレベルがインフレしていき、のちにビジネスモデルが崩壊して要求に沿ったサービスが期待価格で提供できなくなってしまうことを指します。

乱暴な例にはなりますが、たとえば私かどうか別にして超優秀なコンサルタントが非常に小規模で難易度も簡単なプロジェクトをPMとしてマネジメントさせていただいたとすると、おそらくに普通の期待値を大きく超えたマネジメントサービスは提供できるでしょうから、クライアントの期待を大きく超えて大満足でプロジェクトが完了し、成功裏に終わることでしょう。

しかしその人は(たとえば私の場合では単月1000万円超の)超高額なFEEとの対価を要求しますから、大満足だけれど、高額なサービスを提供したわけで、これが周辺の部外者が例外的な要素を忘れたまま「標準と勘違い」するマーケットを増大させていってしまうと、いつしか「確かにすごい高いけどだから物凄い成果が得られる」という、特定の条件下でのみ成立するはずのサービスが「一般水準」とごっちゃになって、サービス提供者が技術的に要求レベルにサービスできない、あるいはそのレベルでサービスする際のFEEがデフレしていってしまう、というようなことが起きてしまいます。

雑談ではありますが、私の妻なんかは「この機長を指名して乗れるなら倍額払ってもいい」とか感想を述べていました。素直な反応だとは思いましたが、そのようなビジネスモデルが本当に誕生していいのだろうかとすこし驚がくもしました。

 

とにかく・・・事象としてそもそも起きてほしくないことに対して、起きないようにどのような防止策が技術的に可能かの議論や対応をしてほしいのに、美談の方ばかりフォーカスされている(ように私にはみえる)ので、なんか変だなあ、いやだなあと。

私も仕事がら飛行機に結構のりますし、帰省では必ず使いますし、そのうえに高所恐怖症なんです(爆)。技術的議論をもっと活発にしてほしいなあ・・・

 

いずれにしてもこの機長さんには本当にリスペクトします。素晴らしいですよね。それは本当にそのとおりです。そしてこの方の技術やマインドセットがこれから航空業界を支える次世代のパイロットさんたちにきちんと継承されていってほしいなあと思いました。

 

・・・なんか、自分の考えをこうして整理していくと・・・ようやく素直に反応できた自分にもうすぐ出会えそうです(苦笑)

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