スパコンはクイズ王に勝てるのか
先日、初めてオルタナブログの定例会に参加させていただきました。永井千佳さんによる「音楽って楽しい!」というテーマの講演でしたが、まさかみんなで「ふるさと」を合唱することになるとは思っていませんでした。テナー・バリトン・バスに分かれ、私はバリトンで、バリトンのグループは一番まとまりがないと永井先生にしかられましたが(笑)、それでもなんとかハモることができて楽しかったです。私の母はもう何十年間か合唱をやっていますが、母が合唱にハマっている理由を垣間見れた気がします。
その後の懇親会のときに、私が自己紹介で以前クイズ番組で優勝したことを話したこともあって、IBMにお勤めの永井孝尚さんから質問を受けました。以前チェスや将棋でスーパーコンピューターが人間に挑戦するプロジェクトがありましたが、今度は「ワトソン」というスパコンがクイズ王に挑戦するとのことで、スパコンがクイズ王に勝てると思いますかという質問だったと思いますが、たぶんすぐには難しいのではないかと答えたと思います。ちょっと酔っていたのでハッキリと覚えていませんが(笑)。
たまたま翌日の朝日新聞の朝刊に「スパコン、クイズ王に挑む」という記事が載っていたので、改めてこの質問について考えてみました。
この記事によると、開発チームを率いるデビッド・フェルーチ博士は「クイズとチェスでは、やることは全く違う。チェスは数学的に定義される有限のルールに従うが、言語はあいまいだし、文脈次第で意味が変わるし、暗黙の了解みたいなものもあるからだ」と言っているそうです。ワトソンは事前に読み込ませた本や百科事典など100万冊分の知識を頼りに答えを出す仕組みで、コンピューターはデータベースから特定のデータを検索するのは得意だけど、クイズに答えるためには単に検索だけではダメでデータを解析することが必要なので、それにかなり時間がかかるようです。
確かにクイズ、特に早押しクイズで勝つには、単に知識として知っているだけではダメで、相手よりも早く答えることが必要です。私は早押しクイズは、読み札が無限にある百人一首のようなものだと思っています。百人一首では、例えば「むすめふさほせ」で始まる読み札は、最初の一文字を聞いただけで、札を取ることができるわけですが、早押しクイズでも、問題文の途中で答えを確定できるポイントがあり、そのポイントで確実にボタンを押せるかどうかが重要になってきます。ですから、単にコンピューターに百科事典などの知識をそのまま記憶させて解析させるのではなく、クイズの問題文と答えの形式で、問題文のどこで答えればいいかというポイントまで含めて記憶させれば、意外に簡単にクイズ王に勝てるようになるかもしれません。
ただ、本当にクイズを究めたクイズ王は、常識を越えた直感力を持っています。以前TBS系『ギミア・ぶれいく』の枠で『史上最強のクイズ王決定戦』というクイズ番組が放送されていましたが、それで4回連続クイズ王になった西村顕治さんという方がいます。彼が1992年の決勝戦で、問題文で「アマゾン川で」と読まれただけでボタンを押して「ポロロッカ」を正解したエピソードは、我々クイズマニアの間でも伝説として残っています。このときの西村さんにはさすがにスパコンでも勝てないでしょう(笑)。下にそのときの動画を掲載しておきます。
スパコンの「ワトソン」がクイズ王に挑戦する本番の放送はアメリカで2月14日~16日にあるそうですが、どんな結果になるのか楽しみです。