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プロジェティスタ、やってます【中堅崩壊】

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(このエントリは「中間管理職が危ない【中堅崩壊】」の続きです)

株式会社テクネコを設立した時に用意した名刺には、私の肩書きは「代表取締役」とだけ入っていました。これではお客様に弊社や私の業務内容が伝わりません。名刺を受け取ったお客様に、もう少し仕事の内容をイメージいただけるような肩書きを入れたいと思っていました。

私の仕事の内容は、「コンサルタント」や「プロジェクトマネージャー」が一番近いです。ただ、お客様の印象として、コンサルタントは「高い料金を取って、きれいにできているけど実務で使えないパワーポイントを残していなくなる」イメージで、あまりよろしくありません。(あくまでもお客様のイメージですので、プロのコンサルタントの方は、お気を悪くされないようお願いします。)

では、プロジェクトマネージャーはどうかと言えば、IT業界で「プロマネ」「PM(ピーエム)」は、「ITシステム構築の進行管理と調整役」のイメージがします。本来、プロジェクトという言葉は、スペースシャトルの打ち上げや新薬の開発など、システム構築以外の分野も含みます。実際、私もシステム構築をしないプロジェクトをやっていたりします。でも、日本の特にIT業界のまわりでは、「プロマネ」「PM」のイメージが強すぎます。

このような理由で、なかなかいい肩書きが見つからないままでしたが、答えは野田稔著「中堅崩壊-ミドルマネジメント再生への提言」にありました。それが「プロジェティスタ」です。

野田 イタリアにはかなり大量に独立系のミドルとでもいうべき人間がいるということがわかりました。彼らはさまざまに名乗っていますが、総じて「プロジェティスタ」と呼ばれています。いわばフリーのプロジェクトリーダーのような存在なのです。イタリアの会社は、300人規模の小さな会社ばかりですから、新規事業をやろうとしたときに社内にリーダー人材が欠けていることが多い。そこでプロジェティスタに依頼してチームを作ってもらい、それを率いて立ち上げてもらう。そういう仕組みが出来上がっているのです。

(略)

丹波 サッカーの監督とか野球の監督もそうですが、彼らは優勝請負師ですね。優勝するとか、常勝できるチームを目指して若手を育成するとか、目標が明確になっている。その目標の達成を請け負うことに喜びを得るわけですね。

お客様社内で不足しているリソースを提供して、プロジェクト成功のお手伝いをすることが、弊社の仕事です。

このようなネットワーク環境にあって、重要な役割をするのがプロジェティスタだ。

肩書きとしては、コンサルタントを名乗ることが多い。年齢的には幅があるが、広範囲なビジネス経験を必要とするため比較的高齢で、40代半ばから60代というところであろう。大金持ちとは限らないが、皆、比較的裕福であるという印象がある。彼らの大部分がもともと企業に属していた技術者だ。

自分が比較的裕福と言えるかどうかは疑問が残るところですが、「コンサルタント」「40代後半」「元技術者」はぴったりです。

イタリアの多くの技術者は、技術領域を広げるだけでなく、管理やマーケティング、企画、さらには経理や人事労務にまで経験を広げていくケースが多い。

そして、さまざまなきっかけで独立をする。先述したようにメーカーとしてスピンアウトする場合もあるが、その中に、コンサルタント、すなわち、プロジェティスタとして独立するケースが含まれる。

プロジェティスタには、それぞれ得意領域がある。多くはスペシャリストとして育んだ自らの専門領域だ。たとえば、アパレルメーカーの出身者はアパレル関連、建設会社出身者は建設関連のプロジェクトを得意とするということだ。その分野で自ら商品開発もできるし、マーケティングや企画力を発揮して新商品、あるいは新規事業を立ち上げることもできる。しかし、それだけでは不十分だ。プロジェクト運営では、経理や人事労務といった経験も必要とされる。

彼らは、関係するさまざまな企業から、プロジェクトリーダーとして雇われる。オフィスを立ち上げている場合も多いが、一人事業主の場合も少なくない。それでも豊富な経験と知識、そしてネットワークを有しているので、企業としては包括的に任せることができる。

プロジェティスタは、コンサルタントとして、現場監督として、コーディネーターとして自らを位置づけ、その企業内外の人材をネットワークし、プロジェクトチームをつくり上げていく。

彼らは契約社員のような形態だが、社内に深く入り込み、組織(プロジェクトチーム)の長としてリーダーシップを発揮する。その企業に常駐して、プロジェクトをリードして成果を出していくのだ。

これを読んで、私は自分が「プロジェティスタ」であることがわかりました。

弊社の特徴は、お客様に密着したコンサルティングです。私は「首までどっぷり浸かってお手伝いします」というキーワードで、いわゆる”コンサルティング”と差別化しています。例えば、プロジェクトによっては、お客様のITマネージャーの名刺を持って常駐し、SI会社など社外との窓口を担当することもあります。

弊社のサービスメニューの1つに、「ジャンプスタートサービス」があります。

これは日本に上陸してくる外資系IT企業や日本のベンチャー企業向けのサービスです。製品開発、マーケティング、Webサイト、コンタクトセンター、営業支援、社内IT業務、人事総務などの機能から、お客様に必要なものだけをカフェテリア形式で選んでいただいてご提供します。これだけの範囲になると、当然ながら弊社だけでは全部をカバーできません。弊社の得意ではない分野は、提携している専門の会社をチームのメンバーに加えます。ジャンプスタートサービスをフルにご利用いただいた場合、日本法人の社長だけいれば、他はすべて間に合います。ご要望があれば、社長をご用意することさえ可能です。

というわけで、弊社が3年目に入ったのを機会に名刺を新しくデザインしなおして、さっそく「代表取締役 プロジェティスタ」と入れました。

さて、「中堅崩壊」では、このプロジェティスタの社内版である「社内プロジェティスタ」がミドルマネジメントのイノベーションになるとしています。

社内プロジェティスタは企業のイノベーションになるのか、次回に続きます。

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