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一時期、NHKをはじめほとんどのテレビ局のドキュメンタリーや報道番組で特集されていた、いわゆる”ネットカフェ難民”ですが、その実態はどのようなものでしょうか。

8月に厚生労働省から「住居喪失不安定就労者の実態に関する調査」の結果が発表されました。

これは、まず第1次調査として、全国の24時間営業のインターネットカフェ・漫画喫茶等全店舗(3,246店舗)の店長・店員等に対して電話によって調査し、1,173店舗から有効回答を得ました。
さらに第2次調査として、第1次調査の対象店舗から立地区分別・ブロック別に偏りのないよう抽出した146店舗に対して、店舗が平日(月曜日~木曜日)にオールナイト利用者に対して店内でアンケート用紙を配布・回収したところ、87店舗から1,664人の調査サンプルが回収されたというものです。

地域や立地を考慮して統計処理して求めた推計値では、平日1日のオールナイト利用者概数は、全国で約60,900人、そのうち週の半分以上利用する常連者概数は21,400人と推計されています。

この21,400人がすべてネットカフェ難民というわけではありません。パソコン、マンガ、ゲームを楽しむために来店したり、その日だけ終電に乗り遅れたり、という人もいます。また、出張で来ていてホテル代わりという人もいます。

調査結果では「常連的利用者」かつ「住居喪失者」である人数(毎日帰る家がない=”ネットカフェ難民”に該当)を全国で約5,400人と推計しています。そのうち、東京23区内が約2,000人、名古屋市内が約200人、大阪市内が約900人となっています。

すべての店舗の実測値ではないため、多少の誤差はあると思います。この数字をどのように見るべきでしょうか。

同じ厚生労働省から2007年4月に発表された「ホームレスの実態に関する全国調査報告書の概要」では、全国のホームレス数は、18,564人(平成15年調査では25,296人)でした。市区別では、

・東京都23区 4,213人
・大阪市 4,069人
・川崎市  848人
・福岡市 784人
・名古屋市 741人
・横浜市 661人
・京都市 387人

となっています。単純な比較では、ホームレスの人数はネットカフェ難民の数倍です。

しかも、ホームレスの平均年齢は57.5歳、路上生活の期間が「10年以上」が15.6%、仕事をしている者の平均収入は約4万円、とのことです。

日雇い派遣とネットカフェで毎日を凌いでいくのは大変でしょうけど、ネットカフェ難民はテレビ局が横並びで特集するほど優先度の高い問題なのか、と思ってしまいました。

なお、ネットカフェの業界団体である日本複合カフェ協会(JCCA)は、<私ども複合カフェにとっては皆さん大事なお客様なのです。私たちはそのようなお客様を決して「難民」とは考えておりませんし、絶対呼びません。 私たちのお客様を「ネットカフェ難民」と呼ぶのはお止め下さい。>という声明を出しています。

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