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シリコンバレー見聞録―その1 シェアリング・エコノミーの象徴企業 Airbnb

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今回、短期間ではありますが、米国のシリコンバレーに行ってきました。まさにデジタルビジネスやオープン・サービス・イノベーションのメッカということもあり、ハードスケジュールでしたが刺激的かつ興味深い体験ができました。折角なのでこのコーナで少々連載したいと思います。

UBERAirbnbなど破壊的なイノベーションを起こす企業が産まれる街が、サンフランシスコを中心とした通称"Bay Area"と呼ばれる地域です。

幸運にもシェアリング・エコノミーの代表企業として有名なAirbnbの本社を訪問することができました。

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《開放的なAirbnb本社エントランス》

Airbnb(エアビーアンドビー)は、20088月創業し、本社をカリフォルニア州サンフランシスコに置く企業です。世界中のユニークな宿泊施設をネットや携帯やタブレットで掲載・発見・予約できる信頼性の高い"コミュニティー・マーケットプレイス"であることを標榜しています。

二人のデザイナーとハーバード大出身の技術者が共同創業者

このAirbnbは、3人の共同創業者によって経営されています。CPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)のジョー・ゲビアとCEOのブライアン・チェスキーは、共にロードアイランド・スクールオブデザインでグラフィックデザインやインダストリアルデザインを学んだ仲です。もう一人の共同創業者でCTOを務めるネイサン・ブレチャージクは、ハーバード大学でコンピューターサイエンスの学位取得後、マイクロソフトなどテック系の企業に勤めた後でAirbnbの創設に携わっています。

まさにデザイン・アートとテクノロジーが融合した企業です。

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《左:レールは貨物倉庫の名残 中央:おしゃれな受付端末 右:米国なので警備員がいる》

打合せスペースは、各国ホストが提供する部屋を再現

開放的なエントランスには、緑も多く、隣接する一階には社員向けの食堂も用意されていました。

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《左:開放的なエントランス 中央:緑も多い :エントランスに隣接する食堂》

エントランスを入り、各フロアで特徴的なのは、様々なタイプの打合せスペースが用意されています(残念ながら撮影禁止)。いずれの部屋にも小さなサインが付いており、世界各国で実際に利用されている部屋を写真付きで紹介し、その部屋を再現しています。例えば、モロッコのホストの部屋やイタリアのミラノのアパートと言った具合です。日本の名前を付けた部屋もありましたが、床は畳を模したカーペットが敷いてありました。そして普通にワンちゃんがオフィスにいました(笑)

新たなサービス「トリップ(Trips)」とは?

ちょうどシリコンバレーに訪問中に新しいサービスがローンチされました。

満を持して発表された「トリップ」は、体験(Experiences)、スポット(Places)、ホーム(Homes)という3つの主要な機能を伴って開始され、今後、「フライト(Flights)」と「サービス(Services)」が加わるらしい。

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《新サービストリップ(Trips)

体験(Experiences)は、現地のエキスパートが企画する手作りのアクティビティ。侍の剣術ワークショップといった単独のアクティビティもあれば、マリブでクラシックカーについて学んで実際に運転するという、数日間におよぶものまで様々。他にも、パリでバイオリンを製作する体験や、ケニヤでマラソンへ参加する体験なども行うことができます。

サービスの提供に伴い、世界12都市(ロサンゼルス、サンフランシスコ、マイアミ、デトロイト、ハバナ、ロンドン、パリ、フィレンツェ、ナイロビ、ケープタウン、東京、ソウル)を含む世界39都市のホストは、自身の「体験」の掲載をAirbnbにリクエストできるらしい。

「スポット(Places)」には、世界中のAirbnbホストから100万件を超える個人のリコメンドがあります。カフェやレストランから公園やその他のアトラクションにいたるまで、彼らが大切にしている現地のとっておきの穴場や今、話題のスポットがリコメンドされています。レストラン予約プラットホームであるResy社との提携により、現地の素晴らしいレストランをAirbnbアプリで直接予約できるようになります。

カテゴリー・プラットフォーム企業を目指す!?

デジタルビジネス時代のプラットフォーム・ビジネスとは、どのように定義されるでしょうか。"複数のグループのニーズを仲介することによりよってグループ間の相互作用を喚起し、その市場経済圏作る産業基盤型のビジネスモデル"と定義する人もいます(「プラットフォーム戦略」平野敦士カール、アンドレイ・ハギウ著、東洋経済新報社)。

ITRプリンシパル・アナリストの内山氏は、 "デジタル・エコシステムの中核に位置するのがプラットフォーマーであるが、特に注目すべきが、特定の業界や技術分野を狙ったカテゴリー・プラットフォーマーである"と定義する。さらにこのカテゴリー・プラットフォーマーの重要な戦略は、蓄積されるデータを分析し、支配力を増大することに加え、周辺領域に影響力を拡大していくことにあると述べています。

今回の新サービス「トリップ(Trips)」の発表でAirbnbは、まさにカテゴリー・プラットフォーマーへの道を一歩進めているようにも見えます。

(つづく)

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