グリーフケア講座:40年来の想いが叶い、とうとう女優・小山明子さんとお話できた!
もうこの話は、たびたび書いているのですが、なんともご縁を感じる話なので、今日もまた書きます。
40年ほど前、NHKで「減点パパ」という番組がありました。著名人男性がシークレットゲストとなり、その子供たちが最初に登場。三波伸介さんが子どもから聞き出したパパの特徴を絵に描いていき、最後にそのパパが登場。 そこから、お子さんについてパパがどれだけ知っているか、クイズ出したり、最後は子どもたちからパパへの作文でしんみり、という、そういう番組でした。
パパが一巡したのか、ある時から、「減点パパ」は「減点ファミリー」となり女性、つまり、ママも登場することに。その第一回のゲストが女優の小山明子さんでした。
小山明子さんがゲストの回には、ご子息2人(小学生)が登場し、最後にママへの作文で、こんなことを読み上げたのです。お兄ちゃんの方(長男、たぶん、小学校5年生くらい)。
「ママは、お出かけするときはおけしょうをして、まるで整形手術をしたみたいです」
これには小山明子さんもお笑いになっていました。TVの向こうで。
この番組の「お母さんが化粧をすると整形手術したみたい」という作文が田中家の茶の間で非常に受けまして、なぜか、それ以来、小山さんがTVにお出になったりすると、「長男が”整形手術”の作文を読んだのよね」などと勝手に話題にしていました。あくまでも茶の間の話題ですよ。
それから30年。今からちょうど10年前のことです。
ある学会のイベントに、友人である大学の教授(Iさん)から招かれてパネラーをすることになりました。その学会の事務局担当の別の大学の先生(Oさん)も交えて、事前に食事会を兼ねた顔合わせをしようということになりました。
Iさんが私に「会う前に伝えておくけれど、Oさんは、大島渚さんの長男なんだよね」と言うわけです。
その時、頭によみがえったのは、「整形手術したみたい」の作文の小学生ではないか?ということ。
食事会を楽しみに出かけました。そして、「はじめまして」の挨拶とともに名刺交換しましたよ。
「東京工芸大学 大島武」
学会の打ち合わせをしなければならないのだけれど、とにかく、訊いてみたい、これを確認せねば、母に報告できない。訊くぞ!
「あのですね、大変、ぶしつけで恐縮ですが、30年ほど前、NHKの『減点ファミリー』で「ママはお化粧すると整形手術したみたい」という作文を呼んだ小学生のお坊ちゃんというのは、大島さんですか? ご本人ですか?」
「え、あ、そうですけど。減点ファミリーのこと、覚えているんですか?ボク、あの番組以来30年間誰からのそのこと言われたことないのに。田中さんが初めてですよ!」
「おお、よかった、ご本人だー。うちの母と私とよく話題にしていたんです。30年間ずっと、時々ですけども。そして、『減点ファミリー』のあの回しか覚えていないんです。あの作文を読んだお坊ちゃんがあなたですね」
・・・・・ それ以来、10年、大島さんとはお友達で、年に数回飲んだり飲んだり飲んだりする仲間です。
そして、先週、11月29日(木)のこと。10月からとっている上智大学の「グリーフケア講座」、その夜のゲスト講師は、小山明子さんでした。
「ご挨拶せねば!」とわくわくしていたものの、大女優さんですし、100人以上受講している中で、どうやってお声掛けすればいいのだろう?と心配になり、講座の数日前に、こそっと大島武さんに連絡しました。
「母上の講演を拝聴するのだけれど、お声掛けしてもよいかしら?」
彼はすぐ母上に連絡を取ってくださり、「事情は話したから、当日チャンスがあったら声かけてね」と返事をくださいました。
さて、講義は90分。 大島渚さんを介護しているお話をユーモアを交えてなさいました。以前からご本でご様子はなんとなく知っていたのですが、それでも大変なことがたくさんおありだったのだなあ、としみじみと聴きました。介護うつになったことも包み隠さずお話になりました。女優として家事はほとんどなさらずに来たのに、介護とともに家事もすることになった。本当に大変だったとのことです。
リハビリのこと、排せつのことなど、私も祖母の介護を手伝っていたことがあるので、どれもこれも大変なのは手に取るように理解できます。
かぶりつきど真ん中目の前に陣取り、メモするのも忘れ、真剣に話をお聞きしました。
講義が終わり、椅子におかけになり、主催者のシスターと談笑されている瞬間、わたくし、つつーっと近づき、お声がけしました。
「あのぉ、田中と申します。大島武さんと親しくさせていただいてて」
「あ、淳子さん、武から聞いています。お世話になっている方だって」
「いえいえ、こちらがお世話になってまして」
「わたし、減点ファミリー見ていたんです。整形手術の作文、我が家ではずっと話題になってました、今でも!」
「まあ、”減点ファミリー”から?長いわねー」
「お会いできて感激です!」
「ありがとうございます」
・・・なんて会話を交わし、もううれしくてドキドキして、帰途につきました。
40年前にたった数十分みた番組に出ていらした親子と、こうやってご縁があってご子息とはお友達になり、お母様とは言葉を交わすことができて、夢みたいです。
帰宅後、すぐに私の母に「とうとう小山明子さんとお話した!」とメールしたら、「減点ファミリーのあの回しか覚えていないけど、鮮明に覚えていて、何十年かたった時、こうやって出会う布石だったのかもね♪」なんて返事来ました。
小山明子さん、本当に美しく凛とした女性でした。普段はGパンで駆け回っているとのことですが、今回は大学の授業のために、お着物をお召しで。美しいネールもなさっていて、白魚のような手をしてらっしゃいました。素敵でした。夢がかないましたー。ありがとうございました。
小山さん、大島さんの本を最後にご紹介します。
まずは、大島さん。
これ、とてもいい本です。特に、人材育成に携わっている方にお勧め。どうやってわかりやすい授業をするかという本ですが、企業の人材育成にも通じる話が満載です。
【プレゼン力が授業を変える】
お母様のご本も。母と私とで読みました。介護のお話です。介護うつのことも書いてあります。あと「整形手術」作文のことも!(笑)
【パパはマイナス50点】
昨年出版されたご本。表紙が美しい!
【女として、女優として-小山明子自伝】