つまらない仕事をワクワクさせる〜問題解決その3 問題の本質を見極める!!
このシリーズの最初にご紹介したように、問題解決には以下の4つのステップがあります。
1.問題に気づく
2.問題の本質を見極める
3.本質に対する解決策を考える
4.解決策を実行できる形にする
今回は「2.問題の本質を見極める」について説明しましょう。前回の「1.問題に気づく」では、アハ体験によって、仕事の中での問題に気づきました。しかしそれは表層的な事象である場合が多いと言えます。例えば以下のようなものです。
○ 全体の中ですごく時間のかかるプロセスがある。
○ 仕事の正確性や品質が悪い
○ 無駄な紙が多い
○ 残業が何故か減らない
○ 予算がいつも足りない
○ コミュニケーションがうまくできない
○ 結論がまとまらない
前回では、こうした表層的な事象に対して、それが当たり前と感じて行っていたことをアハ体験で、何かがおかしい!と気づくわけですが、次にその原因を探っていく事が重要となります。その方法はいくつかあります。
- 何故を5回繰り返す
- 問題を細分化してみる
- 問題をより大きな視点からみてみる
- 問題発生の過去の事象をみてみる
- このまま問題が続いた場合に何が起きるかを予想する
- 問題に関わるステークホルダーを観察する
- 問題を数値化する
- 問題体系図を作ってみる
- チームで問題について掘り下げてみる
1.何故を5回以上繰り返す
一番簡単な方法は、その問題は何故おきるのかを論理的にたどってみることです。例えば、もし特に時間のかかるプロセスがあり、最初は人手が足りないからだろうということで人手を増やそうとしていたとします。しかし、何故を5回繰り返すと、異なる問題の本質が見えて来ます。
何故時間がかかるのか→その度に試行錯誤で行っているから→担当者に十分なスキルがないから→仕事のやり方を覚える方法がないから→マニュアルがないから→仕事が標準化されていないから、ということになります。つまり人手が足りないのではなく、仕事が標準化されていないことが本質的な問題となるのです。
この何故何故法はある意味、パズル感覚でできる頭の体操です。この問題の本質が解けたた(厳密には仮説ができた)時には、また再度アハ体験でワクワクします! 「そうか、問題の本質はそこではなくて、これだったんだ!」というわけです。
2.問題を細分化してみる
問題が起きている事象は結果ですので、そこにいたるプロセスは多岐に渡る場合があります。その場合は、問題を特定するためにさらに細かなプロセスや分類に分けて本質を探る必要があります。
例えば先ほどの時間がかかるであれば、どの工程の誰のどんな作業のリードタイムが遅いのか、また仕事や成果の正確性であれば、いつどのプロセスの誰のどのような仕事の正確性が問題なのか。細分化する時によく使われる方法はプロセスマップと呼ぶ仕事の流れを図示する方法です。このプロセスマップにより、そもそも問題が発生しているプロセスの構造が明らかになり、具体的にどの部分が原因かが直感的にあきらかになります。問題を細分化することは骨の折れることですが、プロセスマップなどは直感的に問題が図の中で理解されるので、アハ感覚は感じると思います。
また別の例では、ある年経費がものすごく増えてしまったとします。それを細分化して、それは交際費であることがわかりました。次にそれを部署別、人別に細分化すると、ある限られた営業の人間の交際費であることがわかりました。その場合、その限られた人間の行動について更なる原因分析、何故経費が増えたのかをみていけばよいのです。
3.問題をより大きな視点から見てみる
その問題の背後にある全体の業務の関係はどうなっているのか。私が個人的に好きなアプローチがこの達観法です。その問題が起きていることは、より大きな全体の事業の中でどのような意味を持っているか、という発想を左脳ではなく右脳を使って行うのです。その昔、仏陀は、達観法を使って、世の中の苦しみや悲しみはどこから来るのかを達観したと言われていますが、もっと身近なレベルで達観してみましょう。例えば無駄な紙が多い、という問題に対して、そもそも紙は何に使われているかというと、会社への報告です。それではその報告は何で行われているのか、例えばそれは監督官庁へのレギュレーションのためかもしれません。そうした全体のレギュレーションの中で必要な組織の報告ルールを再度見直してみたらどうでしょうか。
この達観法を使うと、問題が大きなレベルになることが多いです。すなわち小手先の解決策ではなく、組織そのものや社会そのものを抜本的変えていくワクワク感がありおすすめです。
4.問題の過去の事象を見てみる
我々の世界は一方向の時間の矢に動かされています。従って何か問題が起きた事象には必ず過去にさかのぼれば原因が見えてくるはずです。特にその問題が発生する件数が徐々に増えてきていたらどうでしょうか。過去にさかのぼってみるとその問題が初めて発生した時点があるはずです。その時、周りの事象で何か変わったことはなかったでしょうか。例えば、予算が常に足りないという問題があるとします。これを過去にさかのぼってみると、予算が足りないで活動が停滞してきたのはいつからかがわかります。それはもしかしたら組織の従業員がある人数を超えてからであれば、大組織になってからのマネジメントのやり方がおかしいのかもしれません。また過去のある時点で大規模なリストラをして、そのままの制度が今でも続いているとか。その場合、リストラをした時点の経済環境と今が違うのであれば、組織全体の予算、投資も見直すべきです。
問題の本質を見極める、について今回はここまでとします。次回はこの続きです。乞うご期待ください。