ブロガースミーティング@IBMから - IBM がクラウドで狙うビジネス
オルタナティブ・ブロガーの永井さんのブログに書かれている IBM のクラウドイベントと、その後のブロガースミーティングに参加した。
IBM のクラウドへの取り組みは、Google, Amazon などに比べると情報量が少なかったが、今回の IBM IT インフラストラクチャー・コンファレンスで、戦略全体が見えてきた。
Google や Amazon のクラウドは、中小企業の IT 化やベンチャー IT 企業のサービスプラットフォームとして魅力的であったが、IBM のクラウドは、LotusLive のような直接エンドユーザを対象にするサービス提供も含まれていながら、ビジネスの中心は、CloudBurst というブランドで提供されているハードウェアを含めたパッケージ製品群と、Smart Business Test Cloud などビジネス特化型のプライベートクラウドのように見える。
パブリック型のサービスである、IBM Managed Cloud Computing Services (MCCS) は、Amazon EC2 に近いマシンリソース切り売り型のサービスで、Amazon との差別化をどうするかは興味のあるところであるが、このサービスのためのデータセンターは幕張にあるということなので、海外にある Amazon に比べて、距離による回線遅延を最小限に抑えることができると共に、社内の重要データが海外に出るという危惧はなくなる。もっとも国内であっても社内の重要データを社外に置くことが一般化するまでには、ある程度時間がかかるであろう。そのシステム的、心理的障壁が IBM のサービスによって取り払われることを期待している。
社外にデータを置くとセキュリティが心配になるのは当然なので、クラウドを運用する側に取ってはセキュリティの確保は最重要課題である。当然、最先端のセキュリティ対策が施されるはずであるので、社外にデータを置く危険度が社内に置くよりも必ずしも高いとはいえない。データを社内に置くか社外に置くかの比較ではなくて、十分なセキュリティ対策ができているかで判断するべきであろう。
Amazon や Google のクラウドでは、すでに立ち上がっていることもあって、クラウドプロバイダーだけでは提供できない機能を提供する周辺サービスが生まれ、エコ・システムの形成が始まっている (例えば、負荷に応じてリソースを自動的に調整するサービスを提供している RightScale社などがある)。そのため、クラウドの機能を比較する場合には、それらの周辺サービスも含めての比較でないと意味がなくなるケースがある。IBM のクラウドビジネスにおいても、どのように周辺をカバーするパートナーとの Win-Win の関係を築いていくプランを持っているかということは、興味深い。