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ソフトウェア製品開発現場の視点

シトリックスのクライアント仮想化技術

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シトリックスで行われた、ブロガーミーティングでクライアント仮想化技術の話を聞いた。

サーバー仮想化について最初に聞いたときはパフォーマンスや安定性の疑問があり、社内で開発用サーバーをたくさん立てなければならないときなどには便利であったが、実運用システムを載せる勇気はなかった。しかし、技術が進んで、懸念された問題が解決されたり、運用上問題ないことがわかってきたことで、実運用システムに全く懸念なく使えるまでになってきた。

クライアント仮想化も、現時点ではコストも含めていろいろな懸念が残されているが、技術的にある程度こなれてきたり、適用範囲が広がってきたりすると、おそらくそちらの方向に向かうのだろう。技術的には少しずれるかもしれないが、Macintosh では Parallels というソフトで Windows のアプリケーションを同時に実行することができる。私は、"Vista は重すぎるから Parallels を動かすのはやめた方が良い" という忠告を聞いて、OS をブートしなおす Bootcamp を使っているが、同時に動くならそのほうがいいに決まっている。

プレゼンテーションでも触れられていたが、クライアント仮想化で問題になる点の一つは、グラフィックアダプターであろう。グラフィック処理は現在でも発展過程にあるため、グラフィックアダプターの機能を最大限に引き出すためには、それ専用ドライバーがどうしても必要になり、まだ抽象化した共通ドライバーを提供することは難しいと思う。そのため、シトリックスの XenClient では、passthrough mode が用意されていて、ハードウェア依存のドライバーを使うことができるそうである。この方法は、現実的には仕方がないとしても、エンジニアにとっては技術的には気持ち悪い部分なので、いずれ解決されてくるに違いない。マーケットインの技術開発の重要性が言われているが、一方こういったエンジニアリング的に気持ち悪い部分を解決しておくことは、システムをシンプルにして適用範囲を広げることにつながる重要な技術開発である。

このミーティングでは、思いがけない喜びがあった。シトリックスは、テストのアウトソースを中国の HiSoft に出しているという話をシトリックスの北瀬さんに伺ったが、HiSoft 採用の決め手になった理由のひとつが、日本でのリアルコムでの実績だったということであった。私がアメリカのロータスにいたときに同じチームにいた Shi Wutai (Robein Shi) が HiSoft のテスト事業のディレクターをしていた関係で、リアルコムは HiSoft のテスト事業の日本での最初のパートナーとして、6年ほど前から HiSoft にテストのアウトソースをしていた。当時 Robein から日本でのビジネス獲得のためにリアルコムですでに実績があるという事例を使いたいという要望があったので、問題ない旨を伝えていたが、それがこういった形で広がっていたわけだ。HiSoft の日本での事業の拡大と、シトリックスのテストアウトソース選定の両方にとって、少しでも役に立てていたとすればうれしい。

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